あいつは嘘が下手

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 私は私で喜々としてそれに乗るし女の子女の子しない様して来た。  それが一番彼の傍に居られる手段だから。  私は誰よりも彼の近くに居たくて一番気を使わなくて良い存在であろうとした。男の子の様な自分を演じて来た。  けどそろそろ抑えが効かなくなってきている。女の子として見られたい。興味を持って欲しい。  十年重ねた恋心は冷めずに育ってしまったのだ。  男の子はなかなか恋愛に興味を持たない、けど女の子はかなり早くから意識する。シュンと私は最たるものだ。  それが今を作った。気持ちを押し付ければ引かれるのは明白。小学生時に何度もそう言う友達を見た。男の子は他の男の子に冷やかされるのも嫌なんだ。  だから私は女の子女の子した態度を避けて来た。腐れ縁キッコを演じて来た。  でもある事が起きた。だから、だから彼に脈があるかどうか知りたかった。 「だよねー。あんたのドキッとした顔見たさに気合い入れすぎたか、てか笑いすぎ!少しは褒めろ」  作った表情と裏腹に脈無しかと少し気落ちする私に彼は手を振ってはいはい可愛い可愛いと答えた。 「ちぇ、他の男子だったら騙せたかなぁ」 「やめとけ! 」  唐突に上がったトーンに私はきょとんとした。今、動揺したの?
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