あいつは嘘が下手

4/17
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/17ページ
「だ だってそうだろ、男ってのはナイーブなんだ。お前ファン多いんだから変に刺激して嘘でしたーってなったらストーカーになる奴だっているかもしれねぇだろ」  チャンスと思いたかった。それに縋りたかった。 「ははぁん? 」 「ちげぇって」 「ふーん」 「殴っぞ」  むきになるシュンに私は長年演じるキッコの表情を作った。 「あんただからに決まってるでしょ。即見破るってわかってたからさ。けど赤面位して欲しかったなぁ」 「するか! 」  ここはけらけら笑う所だろう、だからそうした。 「結構気合い入れたんだけどな。だからさ、続けない?嘘」  脈ありと見た時の計画を私は実行した。  男の子は恋愛に興味を持つのが遅い、けど性に対しては女の子より遥かに早い。  私はこれを利用する。性への興味を恋愛にすり替える作戦だ。  だから興奮を煽る赤い服を着た。腰を絞って体のラインを強調した。2cm程上げたスカートの裾も彼の目にはかなり短く映っている筈だ。  見慣れた腐れ縁の私でもこれだけアピールすれば少し位性的に見てくれるだろう。そのドキドキを恋心と錯覚してくれればと、私はそう言う狡い手に出たのだ。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!