VIII

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「矛盾を自分の中で消化できないで、仕事を放り出してしまった。誤魔化したり、すっぽかしたり。社会人失格だ。もう、良いんだ」  日高さんは数日前と比べて明らかに痩せていた。 「その苦悩は完全には僕には理解できません。でも、一つだけ言えるのは、それでも縋り付くことしか出来ないんじゃないかなってことです」  好きなこと、やりたいこと、今は出来なくてもやれるように日々一歩ずつ進むことでしか、僕たちはきっと報われない。 「やれますよ。生きてたらなんだって挑戦できる。日高さんが言ったんじゃないですか。なりたいものがあるのに出来ないなら、やれることを増やすしかないって」 「!」 「帰りますよ。僕の企画、小説に詳しい人が居ないと完成しないんです」
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