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「企業エイプリルフールはよく、”企業のくせに遊ぶな”とか”金の無駄遣い”とか言われます」
「は、はぁ」
数日前、打ち合わせの場で急に始まったエイプリルフールdisに僕は困惑した。
「四月一日は環境の変化でその後の一年がどうなるのかわからない。人によっては一年で一番陰鬱な日なんです。だからこそ、人を笑顔にしたい」
すたぶりえの運営の方がこんなにも四月一日に熱い思いを持っているなんて知らなかった。
「小説は作り物、言わば”嘘”です。現実に立ち向かう勇気をフィクションという嘘から届けたい。その想いをエイプリルフール企画では大切にして欲しいんです」
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4月1日、23:55。
最後の五分にある小説の一節とペンネームが表示された。僕からのサプライズだ。目にクマを作った日高さんがコーヒーを溢す。
「木之下君、最後の桜、あれ。私の書いた小説の一節じゃないか」
「はい。とても良いフレーズだと思ったので」
僕はニッコリと笑って、そしてーー
「木之下君! ......寝てる」
爽やかな春の夜風が僕を労うように吹き抜けていった。
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