引っ越し~夫の転勤についていったら~

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電車で50分間、区間準急に揺られながら夫は職場へ向かう。 「お弁当を作ろうか?」という提案を夫は「マジで?楽しみ!」と快く受け入れてくれた。 私は料理は嫌いではない。 誰かが作ってくれるのならば是非お願いしたいところが、生憎そういう人はいない。 自炊は外食に比べると食費が浮くし、こちらに引っ越して来たばかりで時間に余裕がある。 慣れてきたら短期間雇って貰えるパートにでも行きたいところだが、まだ様子見の時期だ。 + 前の晩に米を研ぎ、炊飯器に入れて寝る前にスイッチを押す。 次の日は早起きして早速お弁当作りに取り掛かった。 2種類のおにぎりの具は、菜の花と桜えび、グリンピースとじゃこ。 おかずは竜田揚げ、卯の花ポテトサラダ風、ニラ入り玉子焼き、筍の焼き浸し、苺。 「わぁ、うまそう!朝早くからサンキュー!ものすごく手間が掛かっただろう?」 詰めたばかりで完全に熱が冷めるまで蓋を閉めていないお弁当を見て夫がはしゃぐ。 「ふっふっふ、恐れ入ったか!ある程度は前日に下ごしらえしておいたからね」 私は左右の腰に手を当て、得意げに鼻を鳴らす。 弁当箱の真ん中にゴムバンドを嵌め、キャンドゥで買ったお洒落な風呂敷に箸箱と一緒に包んで、仕事に向かう前の夫に手渡した。 1人になってから掃除や洗濯をこなすが、以前住んでいたアパートよりも狭かったので予定よりも早く終了した。 ソファーに寝転び、鬼女乱舞や痛いニュースなどを見ながら一通りネットサーフィンをしていたら、いつの間にか正午を回っていた。 キッチンテーブルに腰掛け、皿からラップを外す。 お弁当を多めに作り、自分の昼食にも食べられるように準備しておいたのだ。
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