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子供扱いしないで
「.........おい、何を寝ぼけている。」
そう不機嫌に目を細めて見るあの男に、負けじと思いっきり睨みつける。
「今日は絶対に貴方の意見に従いません。」
「.......へぇ?今日は、また機嫌が悪いようで。なあ、お姫様、、、じゃなくて。――――結衣。」
地を凍らせるような低い声で私の名前を呼ぶ。
初めて聞く声に、一瞬だけ身体が強張ってしまう。
そんな私を見て、あの男は小さく唇を歪ませている。
ムカッ!!
私の態度がわかっていたのか、呆れたように小さく息を吐いている。
「まったく、何が原因で機嫌が悪いのか知らないが、俺は忙しくてな。そんな中君の事も考えないといけないんだ。―――――これだから女の子は大変だ。結衣、君はまだ完全に目覚めていない。君の血はな、あの世界の奴らにしては極上なんだよ。ましてや、まだ高校生なら子供と同じ扱いにされる。いきなり襲われたら、どうなるかわかっているだろう?」
「―――――私がどうにかします。いざとなったらお姫様が目を覚ますかもしれない。それに、高校生なんですよ?いつまでも子供扱いをしないでください!!」
「また、その話か。」
ふぅと重たい溜息をついたあの男は、ちらりと私を見ていた。
やけに意味深だったのは気になるけどね。
「.......勝手にしろ。そんなに子供扱いをしたくないなら、自分でどうにかするんだな。あぁ、俺は知らんぞ、頑張ってくれ。」
くるりと身体を反転させたかと思うと、次の瞬間いなくなっていた。
「.........バカ男。」
いなくなった空間に小さく呟いた。
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