【片思い】まきこ(38歳)

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「かあさん、とうさん…ぼく、決めたよ…(カノジョ)と入籍するよ。」 時は、2016年10月の第2日曜日の昼下がりのことであった。 場所は、アタシ・まきこ(38歳)の家族が暮らしている東京近郊にある一戸建ての家にて… この日、長男・ふみあき(19歳・定時制高校に通いながらバイトをしている)が婚約者のカノジョ(20歳・マクドの店員)と一緒にダンナ(55歳システムエンジニアニング主任)とアタシに入籍することを伝えた。 ダンナは、おだやかな声で『ふみあきのことをよろしく頼むね。』とカノジョに伝えた。 その後、台所にいるアタシに対してお茶はまだかと言うた。 台所にて… アタシは、ぼんやりとした表情でたたずんでいた。 (ピーッ…) この時、ケトルからお湯がわいたことを知らせる音が鳴り響いた。 アタシは、ぼんやりとした表情でつぶやいた。 ふみあき… ふみあき… アタシ… ふみあきが好きだったの… それなのに… ふみあきをお嫁さんに取られちゃった… かなしい… そんな中であった。 「おーい、なにやっているのだ?お茶はまだか?」 ダンナの声を聞いたアタシは、はっとわれにかえった。 いけなーい… すっかり忘れてた… アタシは、大急いでお茶を入れた。 それから二日後であった。 ふみあきとカノジョは、区役所で婚姻届を出す手続きを取った。 二人は、結婚した後も引き続き同じ家で暮らすことになった。 二人が入籍した日に、ダンナは職場からの辞令で熊本県へ長期出張に行くことになった。 アタシは、ふみあきに対する想いをさらに強めた。 ふみあき… アタシは… 今もふみあきを… 愛してるの… どうしようもないくらいに… 好きなの… ふみあきが16歳の誕生日を迎えた日だった… ふみあきの身体がマッチョな肉体に成長した… ダンナにはないあるものが… ふみあきの身体に宿っていた… それを知ったアタシは… バーストしそうになった… ねえふみあき… ふみあきは… まきこのこと好き? ひとりの女として好き? ねえ… ふみあき… アタシは、ふみあきへの想いをより一層つよめた。 乳房(むね)の奥に秘めていた女の願望が、目覚めそうになった。 時は流れて… 2017年の2月1日の朝7時半頃のことであった。 家の居間にて… お嫁さんは、朝食を摂ったあとマクドのバイトへ出た。 居間には、アタシとふみあきだけがいた。 (ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…) ヤダ… どうしよう… 乳房(むね)の奥で… ドキドキとした気持ちが… 高まったわ… 苦しい… 苦しい… (ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…) ヤダ… どうしよう… まきこ… バーストしちゃう… ああ… (ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…) アタシは、激しいドキドキに襲われた。 それでも、アタシは意を決してふみあきに想いを伝えようとした。 「ふみあき。」 「かあさん。」 「ふみあき…あのね…」 ああああああああああああああ… (ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…ドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクンドクン…) 乳房(むね)の奥で生じた激しいドキドキがさらに高まった。 ふみあきが好きだという気持ちを… 伝えなきゃ… ふみあきが好きです… ひとりのカレとして好きです… アタシは、ふみあきに想いを伝えようとした。 その前に、ふみあきがアタシに言うた。 「かあさん。」 「ふみあき。」 「かあさん…今月の12日に…(お嫁さん)と一緒にブライダルフェアに行くから…」 「ブライダルフェアへ行くって?」 「そうだよ。」 「やだ…家にいてよぉ…」 「かあさん!!」 「ふみあき…」 「かあさん!!この頃おかしいよ!!」 「そんなに怒らないでよぉ…」 「オレ!!仕事に行ってくる!!」 カンシャクを起こしたふみあきは、大きめのアンダーアーマーのリュックサックを背負ったあと家を飛び出した。 えーん… ふみあきにきらわれた… 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 ふみあきに思いを伝えることができなかったアタシは、くすんくすんと泣いた。 そして、もどかしい気持ちを抱えたまま2月12日(日曜日)の朝をむかえた。 場所は、JRと京急の品川駅の近くにある新高輪プリンスホテルにて… 念入りにおしゃれをしたふみあきとお嫁さんは、ブライダルフェアへ行った。 二人は、5月頃に挙式披露宴をあげることを決めた。 どんな感じの挙式披露宴をあげようかな… …と楽しく計画(プラン)を立てていた。 アタシは、白のブラウスの上からマゼンタのカーディガンと黒で白のドットのスカート姿でホテルのエントランスホールにいた。 ソファーに座っているアタシは、ぼんやりとした表情を浮かべながら考え事をしていた。 アタシは、ダンナと出会った20年前のあの日を思い出した。 アタシがダンナと出会ったのは高3の秋頃だったわ… アタシは、高校卒業後の進路のことを全く考えていなかった… その頃、家では2番目の兄が職場恋愛で知り合ったカノジョと結婚することが決まった。 家は、お祝いムードに包まれていた。 アタシは、進路が未定のまま高校を卒業した。 卒業式の翌日、アタシは両親に対して『アタシ…お嫁さんになる!!』と切り出した。 困り果てた両親は、知人夫婦に頼んでお見合いを申し込んだ。 この時、アタシはダンナとお見合いした。 お見合いして、2日後に結婚することを決意した。 3月末に、アタシはダンナと入籍した… その日の夜… アタシは、ダンナにヴァージンをささげた… それと同時に… ふみあきがアタシの胎内に宿った… 10か月後に、ふみあきを出産した… それからは、育児と家庭に明け暮れる毎日が続いた… ダンナは、システムエンジニアニングの主任になった… ヴァージンをささげた夜から20年の間… 夜の営みがまったくなかった… そして、ふみあきが16歳の誕生日を迎えた日だった… アタシは、風呂場に忍び込んだ… そこでアタシは… ふみあきのマッチョな肉体を見た。 この時、アタシはふみあきに対して恋心を抱くようになった… そしてふみあきが19歳になった今… ふみあきがお嫁さんと入籍した。 アタシの思いがふみあきに通じなかった… くすん… さびしい… そんな中で、ふみあきとお嫁さんがホテルの女性スタッフさんと一緒にエントランスのカフェテリアにやって来た。 アタシは、二人に声をかけた。 「ふみあき、(お嫁さん)…」 「かあさん。」 「義母さま。」 「ああ…新郎さんのおかあさまもご一緒でしたね。」 それから2分後に女性スタッフさんが席を外した。 このあと、アタシはふみあきにわけを話そうとした。 しかし、冷たく突き放された。 アタシを冷たく突き放したふみあきは、お嫁さんを連れてカフェテリアから出ていった。 どうして… どうしてふみあきは… アタシを冷たく突き放したの? どうして… 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 アタシは、両手で顔を隠した状態でくすんくすんと泣き出した。 その一方で、ダンナは4ヶ月の間連絡がなかった。 4ヶ月の間… ダンナは、メールを送らなかった… LINEのメッセージも来ていない… ……… ひとりぼっちはイヤ… ひとりぼっちはイヤ… 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 アタシは、くすんくすんと泣きながら『ひとりぼっちはイヤ…』とつぶやいた。 それから3ヶ月後であった。 ふみあきとお嫁さんの挙式披露宴が新高輪プリンスホテルで盛大にひらかれた。 挙式披露宴の出席者は、ふみあきの定時制高校時代のクラスの仲間たちと職場の同僚たちとお嫁さんのバイト先の同僚たちと女子高時代のクラスの仲間たちだけある。 その頃アタシは、第一京浜国道をトボトボと歩いていた。 それから数分後であった。 悲しくなったアタシは、その場に座り込んで泣いた。 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 座り込んで泣いているアタシの元に、イケメンの魔法使いさんがやって来た。 魔法使いさんは、アタシにやさしく声をかけた。 「おじょうさん…どうしたの?」 「くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」 「おじょうさん…ねえおじょうさん…」 「だって…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…まきこ…フラれた…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 「フラれたって?」 「息子にフラれた…好きだったのに…好きだったのに…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…お嫁さんに…取られた〜…」 「困ったなぁ…」 イケメンの魔法使いさんは、ひとテンポ置いてからアタシに言うた。 「う~ん…よく分からないけど…おじょうさんは、息子さんを愛していたのだね。」 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…アタシは…ふみあきを…ひとりの男として好きなの…くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 「おじょうさんの気持ちはよくわかるよ…だけど、息子さんは大きくなったら母親から離れるのだよ…」 「イヤ!!ふみあきと離れるのはイヤ!!…好きなの!!…くすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 「困ったな〜」 イケメンの魔法使いさんは、アタシに声をかけた。 「おじょうさん…ダンナさんを品川駅で見かけたよ…ダンナさんはおじょうさんを探しているよ…いまならまだ間に合うよ…早くダンナさんのもとへ帰ろうね。」 アタシは、イケメンの魔法使いさんの言うとおりにダンナのもとへ向かった。 ところ変わって、京急品川駅の改札口にて… アタシはダンナと再会したが、その場から逃げ出そうとした。 「おい…待ってくれ…」 「イヤ!!」 「どうしたのだよ…」 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 くすんくすんと泣き出したアタシは、ダンナに今の気持ちを伝えた。 「くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」 「おい…」 「どうして…どうしてアタシのことをおいで呼ぶのよ…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…まきこ…まきこ…悲しい…悲しい…悲しい…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」 「まきこ…」 「あなた…まきこは恋する女のコよ…どうして…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…どうして恋する女のコの気持ちを壊したのよ?…くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」 ダンナは、くすんくすんと泣いているアタシを胸にギュッと抱きしめながら言うた。 「まきこ…まきこ…ごめんね…ごめんね…まきこ…ごめんね…」 「くすんくすんくすん…くすんくすんくすん…」 「まきこ…好きだよ…愛してる…これからは…まきこのそばにずっといるよ…」 「あなた。」 「まきこ。」 「あなた。」 「まきこ。」 「あなた。」 「まきこ。」 「好き…大好き…大好き…大好き…」 「まきこ…ふみあきがお嫁さんのもとへ旅立ったことがつらかったのだね…さびしい想いさせてごめんね。」 「くすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすんくすん…」 ダンナの胸に抱きついて泣いているアタシは、ふみあきに別れをつげた。 ふみあき… さようなら… さようならふみあき… まきこは… ダンナのもとへ帰ります… その日の夜遅くであった。 ところ変わって、家のベッドルームにて… アタシとダンナは、全裸で抱き合っていた。 「あなた…」 「まきこ…」 「ああ…汚して…まきこの身体をグチョグチョに汚して…」 ダンナは、アタシの身体をグチョグチョになるまで汚した。 38歳・晩春… まきこのオンナノコ物語が始まった。 【おしまい】
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