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21話 固く心に決めた
ゆっくりと挿入してきて、指とは違う感じに異物感が凄かった。だけど痛くなくて、寧ろ気持ちいい。
「ひゃあ……んっ」
「り……つ、さ……はあ……痛くないですか」
「だ、いじょうぶ……あっ……」
僕が頷くと一気に奥まできて、変な声が出てしまう。僕が口を固く結んでいると、優しくキスをされた。
舌を入れてきて絡められて、体の力が抜けていった。彼の背中に腕を回して、無我夢中でしがみついた。
いやらしい音が響いて、彼の甘い匂いも強くなってきた。何が何だか分からずに、流れに身を任せるしかない。
彼に僕のを扱かれて、益々気持ちよくなってくる。大きくて少しゴツゴツした手が、気持ちと良くて軽くイってしまう
「んっ……あっ……はあ」
「律さん、もっといいですか……はあ」
「んっ……いい……よ」
僕が頷くと妖艶に微笑んで、首筋にキスをしてくる。吸い付いてきて、少し痛かったけど気にならない。
その間も腰の動きは止まらなくて、段々と気持ちよくなってくる。もう一度僕のを扱かれて、イキそうになる。
それと同時に彼のが僕の中で、大きくなって熱が放出されたのが分かった。優しく微笑んで、おでこにキスをされた。
「はあ……はあ……とう……ま」
「律さん、痛くないですか?」
「だいじょ……ぶ」
僕が頷くとゆっくりと、僕の中のものが抜かれた。あれが挿ってたかと思うと、少し怖いけど……気持ちよかった。
急激に眠くなってきて、目がしょぼしょぼしてきた。視界がぼやけてきたけど、必死に眠らないようにしていた。
「律さん、寝ていいですよ」
「でも……」
「俺も寝たいので、このまま寝ましょう」
「う……ん」
優しく抱きしめられて、彼の体温を感じていた。気がつくと寝ていたようで、目が覚めると隣に姿がなかった。
何処に行ったんだろう……もしかして、帰った? そんなはずないよな……でも、今何時かメガネしてないから分からない。
「暑い……」
「起きました? とりあえず、水飲んでください」
「あっ……うん」
ゆっくりと起こされて、腰を支えられた。水を口元にコップを持って来たから、静かに飲み始める。
冷たい水が体に染み渡ってきて、とても美味しい。水ってこんなに、美味しいものなんだね。
「美味しいですか」
「う……ん、美味しい」
メガネをかけないと、マジで見えない。透真くんの表情が見えなくて、目を凝らしてみる。
「どうしました?」
「見えない」
「あー、はい。どうぞ」
「ありがと」
メガネをかけてくれたのは、いいけど……近距離にいて、綺麗な顔が間近にあった。一瞬フリーズして、動けなかった。
優しく微笑んでくれて、体が火照っていくのが分かった。我に返って直ぐに、距離を取ろうしたけど体が悲鳴を上げた。
「つっー」
「無茶しないで、下さいね」
優しく抱きしめられて、胸の中にすっぽり収まった。急激に恥ずかしくなったのと同時に、お腹が空いてきた。
「……お腹空いた」
「クスッ……では晩御飯にしましょうか」
優しく笑うと器用にTシャツを着せてくれた。考えてみたら、汗かいているはずなのに、全然ベトベトしない。
もしかしなくても、拭いてくれたのかな……気恥ずかしさで、どうにかなりそうだった。
するといつの間にか、下着も着せてくれていたようだった。ヒョイっとお姫様抱っこされた。
恥ずかしかったけど、全身が怠くて拒む元気が出ない。それにたまには、甘えてみるのもいいのかもしれない。
「律さん、あーん」
「一人で食べれるよ」
「俺がやりたいんです……ダメですか」
「うっ……勝手にすれば」
ソファに座らせられて、いつの間にか作ったご飯を食べさせられる。味噌汁が美味くて、体に染み渡る。
それはいいんだけど、野菜炒めを嬉しそうに食べさせてくる。一人で食べれるって言ったら、捨てられた子犬みたいに見つめられた。
そんな顔されたら、断るに断り切れないじゃん。可愛いんだけど……食べ終わると、嬉しそうに立ち上がった。
「お風呂の準備してきますね」
「いいよ……そこまで、してもらうのは」
「遠慮せずに、頼ってください」
「うん……お願いします」
「りょーかいです」
鼻歌混じりでリビングを後にした。そこで僕は、一人で悶々と考えていた。凛斗がなんで、あんな写真を持っていたのか疑問に思ってしまう。
よく分かんないけど、疑惑が生まれてしまう。凛斗は僕が知らない裏の顔が、あるんじゃないか。
「距離取るべきなのかな……」
鹿野の時も透真くんの時も、凛斗から教えてもらった情報だし。鹿野に関しては真意は分からないけど、透真くんのは完全な誤解だったわけだし。
だけど凛斗と距離を取ったら、他に友達がいなくなってしまう。湊くんや馬鹿野郎の顔が、浮かんでくる。
昔とは違って、今の僕には透真くんもいる。彼なら信用できると思うんだ……まず、出来ることを考えよう。
凛斗が知らないところに、引っ越そうと思う。明日にでも、不動産屋さんに行こうかな……そう思っていると、隣に彼が座って肩に頭を乗せてきた。
「律さん、その……合鍵とか貰ってもいいですか」
「合鍵か……」
「締め切りに追われて、倒れてたりするじゃないですか」
「確かに……」
別に渡してもいいんだけど、いずれ引っ越すわけだし。渡す必要もないよね……そう思ったから、そのまま伝えることにした。
「渡さなくていいと思う」
「……そうですか」
顔は見えないけど、落ち込んでいるように感じた。さっきまでの元気よさは、どこに行ってしまったんだろう。
「その……何か、あったの」
「……なんでもないです」
やっぱ、落ち込んでいるようで気になってしまう。どうすればいいのか、分からない……。
彼が何を考えているのか、分からない。だけどそんな顔しないで欲しいなって思って、甘えてみることにした。
「お風呂行きたいんだけど、連れて行って」
「はい。分かりました」
僕がボソリと言うと、嬉しそうに起き上がった。単純だなと思いつつも、どうしてそんなに落ち込んだのか分からずにいた。
それでも嬉しそうにしている彼を見て、僕までも嬉しくなってしまった。これから何があっても、信じていこうと固く心に決めた。
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