47話 同人誌

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47話 同人誌

「な……にして」 「必要なものをね。準備」 「準備?」 「そう、準備」  直ぐにベッドに戻ってきて、おでこにキスをしてきた。何やら手に出していて、多分ローションだと思う。  準備ってそういうことね……Ωにはそんなの必要ないのにな。すると再度下半身を舐めてきて、お尻にローションをつけてきた。  少し冷たかったけど、それよりもまだ慣れていない。Ωとはいえ、慣れは必要なのだと実感した。 「痛くない?」 「だい……じょぶ」 「律さん……痛かったら言ってね」  僕が静かに頷くと、優しくキスをしてきた。舌を絡ませてきて、その間もお尻を触ってきていた。  ゆっくりと指を挿入してきて、気持ちよくなってきた。僕は彼の背中にしがみついて、完全に身を預けていた。  その間もキスはしてきて、指も増えてきて掻き回されていた。体がビクンと跳ねて、色々と気にならなくなってきた。 「さてと……」 「んっ……こん、あっ……んっ」  キスも止めて指も抜かれて、今度は両足を上げられた。太ももにキスをされて、お尻の中に舌を入れてきた。  下半身も扱かれて、色々な快楽が押し寄せてくる。声も抑えきれずに、ベッドシーツにしがみついた。  体がビクンと跳ねて、軽くイってしまったようだった。すると一連の動作を止めて、おでこにキスをされた。  というか、この一連の流れ……とてつもなく既視感を覚えてきた。もしかしなくても、この流れって……。 「あの……さ、もしかして……同人誌見た?」 「見たよ。やっぱ、気づいたか」 「はずっ」  この流れ僕が描いた同人誌の流れと、同じで爆死しそうだった。十八禁の所を見せたくなかったのに……。  どのタイミングで見たのかな……。恥ずかしすぎるんですが……。えっと、この後どうしたっけ?  そう思っていると、彼は自分のにゴムをつけていた。僕の口元に持ってきて、少し躊躇っているようだった。  そうだ……このまま受けが攻めのを口に含むんだった。そこまで忠実じゃなくていいよ。  僕の馬鹿……何でそうしたんだよっ! しかし、彼はまだ躊躇っているようだった。そのまま離れて行きそうだった。 「流石に、止めとくか」 「いいよ……上手く出来るか、分かんないけど」  僕は口を開けて、意を決して口に含んだ。ゴム越しとはいえ、中々に変な味や感覚がした。  同人誌で描くのと、現実は中々に乖離しているのだと実感した。顎が疲れてきたと思ったら、彼が静かに口から離した。  下手だったかなと思って見てみると、必死に堪えているようだった。よく分かんないけど、上手く出来たのかな。  この後って何にしたっけ? そうだ……この後、挿入されるんだ。両足を持ち上げられて、お尻に当てられた。 「挿れるよ」 「う……んっ」  そのまま、ゆっくりと挿入された。奥に挿れずに入り口のところで、何度も何度も慣らしているようだった。  だから、そんなに忠実にしなくていいよ。されたことなかったから、分からなかったけどこれって物凄くもどかしい。 「そんな……こと、しなくても」 「え? これが、正解なんじゃ」  そんなのに正解も不正解のあるかよ! そうツッコミたかったけど、彼の優しい瞳を見たら、何も言えなかった。  この人多分、教科書に書かれていることを忠実に守るタイプだよ。そんなことどうでもいいから、早くしてほしい。  そう思って僕は、素直に言えずに彼の首に腕を回した。少し驚いているようだったけど、笑って僕のおでこにキスをしてきた。 「律さん、痛くない」 「だいじょ……ぶ……んっ」  僕が静かに頷くと、今度は奥の方まで挿れてきた。久しぶりの感覚と、焦らされたからかこの前よりも気持ちいい。  最初は優しく腰を動かしていたけど、段々と早くなってきた。僕は無我夢中で、彼の背中にしがみついていた。  優しく首元にキスをされて、声が出てしまう。でもそんなことはもう、既に気にならなくなってきた。 「律さん、好きです」 「んっ……」  こういう時、素直に言えるならどれだけいいか。舌を絡ませるキスをしてきて、より一層気持ち良くなってきた。  ずっとこの部屋に、彼の甘い匂いが充満していた。それもあってか、全身で包まれているような感じがした。  再度首元にキスをされて、彼が僕のを扱いていた。慣れていないせいか、僕は簡単に軽くイってしまった。  より一層腰の動きが早くなってきて、快楽が勝ってしまう。その間も扱かれていて、体がビクンと跳ねてしまう。 「律さん……はあ」 「んっ……あっ」  首元にキスされて、少し痛みが走った。それでも快楽の方が強くて、気にならなくなっていた。  彼のが僕の中で大きくなったかと思うと、中で熱いものが出たのが分かった。ゴムしてるから、大丈夫だとは思う。  僕のを扱いていて、僕もその後直ぐにイってしまった。優しくキスをしてきて、僕は急激な眠気に襲われた。 「律さん、少し寝てていいよ」 「だけ……ど」 「おやすみ」 「んっ……」  おでこにキスをされて、僕は静かに目を閉じた。目が覚めると、彼に優しく抱きしめられていた。  すやすやと寝ていて、気持ちよさそうだった。正直、お風呂入りたいんだけど……。でも起こすのもな。  彼が少し拭いてくれてみたいで、そこまでベトベトしていない。サイドテーブルの上に、置いてあったメガネをかけた。  部屋の時計を見ると、夜中の一時を回っていた。結構長い間、寝てしまったようだった。  お腹空いてきた……そう思っていると、彼のお腹から大きな音が鳴り響いた。僕がつい笑ってしまうと、彼が起きたようだった。 「なんか……大きな音が」 「透真くんの、お腹の音だよ」 「あー、お腹空いてる」 「食べ歩きしたから、しっかりと食べてないもんね」  でもな……流石にこの時間に食べるのは。そう思っていると、彼が徐に起き上がってリュックから温泉まんじゅうの箱を出していた。 「それお土産」 「また買えばいいよ」 「それもそうだね」  彼に起き上がらせてもらって、僕は温泉まんじゅうの包装紙を適当に剥がした。彼はそれを見て笑いつつ、ミニ冷蔵庫から飲み物を持ってきた。  お茶を渡されて、僕はそれを受け取った。彼が隣に座ってきて、僕らはまったりと温泉まんじゅうとお茶を飲んでいた。  なんか二十代の二人が、するような光景じゃないような気がする。ふと彼の視線に気がついて、見てみると顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。 「このおまんじゅう、美味しいね」 「そ……ですね」 「美味しくない?」 「美味しいです……」
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