第一噺 休暇中の虫たち

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第一噺 休暇中の虫たち

 ナルム帝国_____この帝国では虫が人として成り立っている。 緑が多い須田島公園の木に止まっている虫は、セミの鳴き声がうるさいなと腹立っていた。 「ったく、夏の休暇中なのにミンミンうるせぇな」 「あん?」  とセミの一匹が彼に喧嘩を売った。 「いやいやぁ、冗談ですよ・・・・冗談・・・」  平和主義な彼は喧嘩をしたくない。危なかった、喧嘩しちゃうと鼻血どころではないと確信していた。  彼の名は平田クワガタ、ヒラタクワガタ属第一属に属する生物である。 性格は平和主義者、何よりも巻き込まれたくない、いわいる人間らしい。 職業はスーパーのアルバイトをしている。クワガタなので強いイメージがあるがマジで強くない。 「おい、平田、アルバイト時刻じゃないのか?」 「財閥の御曹司には言われたくないな笑」  平田の友人、七星テントウだ。ナナホシテントウムシ第一属に属する生物。七星財閥の御曹司で、軍に協力しているらしい。小中の友人である。性格は落ち着きがない性格でムードメーカー。っていうやつ。ナナホシテントウムシなので超モテる。 「休暇中なのか?隣国が攻めてきそうで怖いぜ」 「七星財閥でもミサイル作ってるだろ?」 「資金が足らなくて…銃しか作れないんだ」 と寂しそうに言っても大金持ちなので関係ない。休暇を楽しまなくては、と思い公園から出た。須田島は今日も穏やかだ。北部の剛城では紛争が起きているらしい、南部と北部とで違いが激しい、アルバイターで何もできないが、生活できるしこのままでもいいかと思った。 「やぁ、平田くん」 「!門白か?気づかなかったぜ」 高校が同じだった門白チョウだ、モンシロチョウ属第二属に属する生物。 少し黄緑色がかかっており第二属と診断された。今は投資をやっているらしい。結構稼いでいるとかなんとか。性格は臆病だが時に大胆な行動する平田とは違う。 「どうだ?この国は?」 「えっ?全然いいよ、ベンテルではあまり娯楽がないから、ここのほうがいいかな?」 出身は隣国ベンテルで、今はナルム帝国に住んでいる。ベンテルは娯楽要素がない、社会主義なので軍にお金を使いまっている。だからみんな貧乏らしい。 「じゃあまた」 「おう!」 ベンテルなんて行きたくもないぜと思いながら家に帰ろうとした時だった。 カプセルを持った虫がいる。なんだ?あの紫と緑が混じったような色の液体・・・ 「・・・あっ!」 と後ろを向いて走り出してきた。後ろを向いているせいで前を向いていない。 こちらに近づいてくる。えっ、やばい、ぶつかる。でも何に後ろを向いているんだ? 「ああああああ!!!!!!!!」 「あああああああ!!!!!!!!」 とぶつかった。 体の中で何かが起きた。目が見えない。どういうことだ? 何か液体がぶっかけられた気がするのだが・・・。 おっ・・・やっと目が開けた。・・・・? やぁ、どうも、 おい?お前は誰だ? 生命体だよ、 はぁ?俺は平田クワガタだ。何言ってんだ? 一体どうなっているのか? 第一噺 終
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