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「先生」
「はい、Fさん」
女子生徒の中でも背が高く、目つきがちょっときついけど、顔立ちが整っているFさん。文武両道な上、気が強く、このクラスの女王様みたいな印象を受ける。
そんなFさんは起立すると、タブレット端末の画面を私に見せた。
そこに映っているのは、四人組のガールズバンドの動画。四人ともミニスカートや襟ぐりの大きいトップスを身に着けており、肌の露出度は高め。リーダー格の娘が、エレキギターを演奏しながら熱唱している。他の娘もそれぞれ、ベースギター、キーボード、ドラムスを一生懸命演奏している。
私はこの動画を知っている。なぜなら……
「これ、先生ですよね」
Fさんはキーボードを演奏している人物を指さした。Fさんの周りに他の生徒たちが集まって来る。
「……ええ、そうですよ」
「いい年して恥ずかしくないんですか?」
「――!! 恥ずかしいって、Fさん! 私はまだ二十五歳! そんなこと言われるような年ではありません!」
私は大学時代に友達とバンドを結成した。活動は現在も続いており、時々、友達が動画をネットにアップロードしている。Fさんが示した動画は、つい最近アップロードしたものだ。
「どれどれ……」
「これが先生!?」
「なんか、エロいかっこしてるな」
「谷間見えてるぞ」
「その割には、なかなかパンチラしないな」
「キーボードだからしかたない……というか、他のねーちゃんも全然パンチラしないな。ギター弾いている奴なんか、ソロの時に結構動いてるのに」
動画を見て言いたい放題の男子生徒たち。彼らの中にマセガキがいるのは、想定内である。
「先生って、美人でスタイルいいよね。だから、こんな格好もできるんだわ」
女子生徒がうらやましそうな声で言った。ちょっとうれしい。
「でもさ、いずれしわしわになって、おっぱいやおしりが垂れるぜ?」
余計なこと言うんじゃない!
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