合唱曲の選定 ――インストゥルメンタルの逆襲――

4/7
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
「先生」 「はい、Fさん」  女子生徒の中でも背が高く、目つきがちょっときついけど、顔立ちが整っているFさん。文武両道な上、気が強く、このクラスの女王様みたいな印象を受ける。  そんなFさんは起立すると、タブレット端末の画面を私に見せた。  そこに映っているのは、四人組のガールズバンドの動画。四人ともミニスカートや襟ぐりの大きいトップスを身に着けており、肌の露出度は高め。リーダー格の娘が、エレキギターを演奏しながら熱唱している。他の娘もそれぞれ、ベースギター、キーボード、ドラムスを一生懸命演奏している。  私はこの動画を知っている。なぜなら…… 「これ、先生ですよね」  Fさんはキーボードを演奏している人物を指さした。Fさんの周りに他の生徒たちが集まって来る。 「……ええ、そうですよ」 「いい年して恥ずかしくないんですか?」 「――!! 恥ずかしいって、Fさん! 私はまだ二十五歳! そんなこと言われるような年ではありません!」  私は大学時代に友達とバンドを結成した。活動は現在も続いており、時々、友達が動画をネットにアップロードしている。Fさんが示した動画は、つい最近アップロードしたものだ。 「どれどれ……」 「これが先生!?」 「なんか、エロいかっこしてるな」 「谷間見えてるぞ」 「その割には、なかなかパンチラしないな」 「キーボードだからしかたない……というか、他のねーちゃんも全然パンチラしないな。ギター弾いている奴なんか、ソロの時に結構動いてるのに」  動画を見て言いたい放題の男子生徒たち。彼らの中にマセガキがいるのは、想定内である。 「先生って、美人でスタイルいいよね。だから、こんな格好もできるんだわ」  女子生徒がうらやましそうな声で言った。ちょっとうれしい。 「でもさ、いずれしわしわになって、おっぱいやおしりが垂れるぜ?」  余計なこと言うんじゃない!
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!