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「先生」
私が頬杖をついていると、Hさんが挙手をした。
「はい、Hさん」
「クスコの『キリマンジャロ』は、いかがでしょうか?」
クスコの『キリマンジャロ』!
「あ、俺、その曲好き」
「僕も」
「わたしも」
おや? 結構評判いいみたい。
「……『キリマンジャロ』か。いいんじゃないかしら」
納得したかのように独り言を言うFさんの声が聞こえた。
私は黒板に「キリマンジャロ」と書いた。
他にも候補となる曲があるかもしれないので、生徒たちの方を向き、問いかけることにする。
「みなさん、他にありませんか?」
だが、これ以上、候補の曲が挙がることはなかった。
「それでは、クスコの『キリマンジャロ』でいいと思う人は、手を挙げてください」
そう言うと、全ての生徒が手を挙げた。
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