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約1時間ほど電車に揺られて12時過ぎ、マンションに着いた。 お昼ご飯を買ってくればよかったかな…なんて思いながらインターフォンを押した。 自分も鍵は持っているけど、引っ越すまでは使わないでおきたい。 寝癖だらけでスウェット姿の慎吾が『おう』と言ってドアを開けてくれた。 ドアが開いたとたん、想像していた通りムワっとお酒の臭いがした。 まさにちょっとした人数で宴会をした後の臭いだ。 昨日の電話はこの事だった。 慎吾の地元の友達が引っ越した家を見にやって来たと。 ここは慎吾の地元に近い。 そして地元の友達ととても仲が良い。 中学や高校が一緒だとか、その繋がりで知り合った人だとか、たまに紹介されたがあまり覚えられない。 女の子もいて気にならないわけではなかったが、遊ぶような人じゃないと信じていた。 前のアパートもこの近所で、よくみんな遊びに来ていた。 それは慎吾の家だしどうでもよかった。 でもここは…ここは慎吾との記念すべき初めての家になる。 私の家にもなるのだ。
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