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伸びてきた男の大きな手が胸を押さえ、もう一方の手がかかったのはジーンズのジッパーだった。思わず俊は目を見開いて焦って叫んだ。
「え? ええ? ちょ!…ちょっ…待っ…!」
何が何だかわからないまま、彼はソファーに押しつけられてしまった。
「…あっ…」
しっかりと組み敷かれて熱を帯びる細い身体。繰り返されるきつい感覚。額から流れ落ちる汗が染みて彼は目を閉じた。キスを繰り返された辺りから記憶が飛んだ。なまめかしい舌の動きに全身から沸き起こった快感。それは相手の手管が変わるたびに強くなり、うねりとなって瞬く間に彼の身体を支配した。
抵抗の意識はあっという間に失せた。
「…なんで…こんな事に、なるんだよ…」
けれど脳裏のどこかに、瞬時に相手の手管に落ちてしまった悔しさがまだ残っている。苦し紛れに机の上を払いのけた腕。足元にばら蒔かれた白い小さな紙にはこう書かれていた。
『セックスカウンセラー 堺 功』
「…え?」
少年は目を瞬かせた。そして、思わず叫んでしまった。
「あのクソババア! 何を勘違いしてー! …っ!」
注意をそらした俊を強く抱き締めて、堺が呟いた。
「後で拾っとけよ」
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