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第一章 私が嫌いな私
私は「美人」という言葉が嫌いだ。
美人は冷たいとか、お高く止まっているとか、とっつきにくいとか、緊張させるとか、綺麗以外の良いイメージがない。
それに比べて「可愛い」は良い。
可愛いは、何でも許せて、か弱いイメージがあって、守ってあげたくなる。
愛されている実感だってあるだろう。
そして、私は生まれてこの方、可愛いと言われた事がない。
親にもだ。
釣り上がった眉、奥二重の吊り目、男みたいにスッと伸びた高い鼻、薄くて口角が下がった口、170以上ある身長。
どれも可愛いさから遠く離れている。
お世話にも可愛いとは言えない。
髪型はと言うと、首の辺りまでの長さのショートボブ。
長く伸ばしたいのだけど、癖毛の為これ以上伸ばすと、髪がウネって上手く纏まらない。
おかしいと言うか、面白い感じになってしまうのだ。
ストレートの子が羨ましい。
美人さんだね、とか、整っているね、とか、「イケメン」だね、と言われた事もある。
羨ましい?
いやいや、女子に「イケメン」はないでしょう。
可愛いね、とか、守ってあげるよ、とか、私はそう言う言葉が欲しい。
だから可愛い女の子に憧れる。
私の名前は「七瀬 雅(ナナセ ミヤビ)」。
名前からして可愛くない。
ホストみたいな名みたいだと言われる。
よく間違えられるが、七瀬は苗字であって名前ではない。
男の子?どっちが苗字?というツッコミも聞き飽きている。
大桜(ダイトウ)高校に通う一年生。
れっきとした女の子である。
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