第四章 あいつとの関係

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第四章 あいつとの関係

「ごめんね。あいつ、無神経だから」 「私は良いけど。彼氏?」 「ぜんぜん!そういうんじゃないから!」  何故か慌ててしまい、肩にかけていたカバンを落としてしまった。 「仲良さそうだけど、 あんなカッコいい人とどこで知り合ったの?」 「今の見てた?仲良さそうじゃないでしょ? ただの幼馴染」 「幼馴染?」 「うん、ずっと一緒にいた訳じゃないけど、幼稚園から高校まで同じ学校」 「なーんだ。付き合ってないの? 理想の美男美女のカップルって感じなのにね」  と、ほのかは不思議そうな顔をする。 「何でそうなるのよ」 「だって、いつも見てるでしょ、彼の事」 「え?」  カバンがまた肩からズリ落ちる。 「雅ちゃんの視線の先には彼がいる事が多いんだよね。だから顔だけは知ってたの」 「ぐ、偶然でしょ?」  そんな事してたか、私。  確かに、あんな人だけど、そう。  幼稚園の頃からずっと気になっている。 「絶対、無いから」  そう言い切った。 「ふーん」  意味深げにニヤニヤしながら問いかけてくる。 「じゃあ、たとえば、私と椎名くんが付き合っても祝福してくれる?」  一瞬で体が固まる。  カバンが床に落ちる音が響いた。 「雅ちゃん?」 「もちろん!祝福するよ!」  笑いながら両手で丸のポーズを取る私を見て、ほのかがクックッと笑い出す。 「ん?」 「‥‥冗談よ」 雅ちゃんは嘘をつく時鼻の穴が広がる」 「うそ!!!?」  私は急いで両手で鼻を隠した。 「うっそー!」  ほのかがイタズラっぽくウインクした。 「もう!」 「さ、お腹空いたからマック寄って行こうよ」  ほのかが私の手を引いて走り出した。
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