第五章 告白

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第五章 告白

 下校チャイムが鳴り、待ち合わせをしていたほのかと合流し、学校の校門を出たところだった。  私の前に一人の男の子が現れた。  背が高い。180cmはあると思う。  制服はカーキ色のブレザー系で、オシャレなチェックのネクタイを締めている。  地元の私立高校だ。桜ヶ丘学園。 確か、お金持ちの子が集まるので有名な高校。  私みたいに公立と違って私立の制服も綺麗だな。  小顔で色白の、男性アイドルにいそうな綺麗な顔をしている。  彼が微笑みかけている。  私は思わず後退りをした。 「突然でごめん。 俺、石川 直樹(イシカワ ナオキ)と言います。 桜ヶ丘学園の三年です。 君の事が好きになってしまって、ここまで来てしまいました。 俺と付き合ってください。 お願いします!」  と言って頭を下げた。  私は突然の出来事に固まってしまった。 「付き合う?え?私と?」  驚いて横にいる、ほのかを見る。 「ほのかじゃなくて?」  と問い返すと、彼は緊張した顔で答えた。 「はい、俺が好きなのは七瀬雅さんです」  男の子に告白されたの初めてかも。  こう言う時は何て言えばいいんだろう。  戸惑って黙っていると、  ほのかが間に入ってくれた。   「ごめんなさいね、雅ちゃんには好きな人がいて‥‥ほんとごめんね」  ちょっと、何言ってるの?!  レンは違うって‥‥。  目が泳いで、校門で女の子と話しているレンの姿を捉えた。  それから男子高校生に向き直って聞いた。 「何で私?」  気を取り直して質問すると、石川と名乗る男の子は怪訝そうに眉を顰めて答えた。 「何でって、可愛いからに決まってるじゃないですか」  可愛い?!  男の子に可愛いって!  びっくりしてまたレンの姿を追う。  レンは相変わらず女の子に声掛けで夢中のようだ。 「そうなんですか‥」  彼は項垂れて肩を落とす。 「そうなの。本当にごめんなさい」  ほのかが手を合わせて、申し訳なそうな顔をする。  可愛い。そう言うの絵になる。  私がやったらレンに「ん?どうした?」と言われかねない。 「でも、オレ、諦めませんから」  そう言うと彼はクルリと背を向けて去って行った。  ‥‥胸の奥で心臓がキュンと飛び跳ねた音がした。  彼が立ち去ってしばらくした後、ハッとしてほのかに問い正す。 「ところでほのか。 好きな人がいるって、、 嘘ついちゃダメじゃん」  雅の視線が自然にレンの方向に向く。 「ふーん」  ほのかがニヤニヤしてる。 「何よ」 「でも断るつもりだったんでしょう?」 「私は別に‥‥」  目が泳ぎ、レンの姿を探す。  もうレンの姿は何処にも見えなかった。  あー、もう、なんかイライラする。  レンの前でOKしてやれば良かったかな。
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