第六章 喧嘩

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第六章 喧嘩

「あいつの誘い受けるのかよ」 「あいつって石川くんの事?」  次の日、廊下でレンに話しかけられた。 「そう」 「なんだ。見てたの? 見てたんなら‥‥」 「いいから、答えろよ」 「さあ??どうしようかな‥‥」  ワザとそっけなく言ってみる。 「やめとけよ」  少し怒ったように乱暴な言い方をして来た。 「何でよ」  関心なんてないくせに。    いや。ここでちょっと嫌味でも言ってみるか‥‥ 「石川くん、私のこと『可愛い』って言ってくれたんだよ。 レンは一度も言ってくれた事ないよね?」 「うるさいな。 何でオレが‥‥」 「うるさいって何よ。 ははーん?もしかしてヤキモチ?」  レンがイラついた顔で声を荒げた。 「勝手にすればいいだろう! オレには関係ないんだし! オレはオレで好きにやらせてもらう」  そう言うと走って教室に入ってしまった。  ヤキモチを妬かせようと思ったのに逆に怒らせてしまった。  何で素直に気持ち、ぶつけられないんだろう。  わたし。  ため息をついて、廊下から窓の外を見る。  今にも降り出しそうな雲が薄黒く立ち込めていた。  雨降るのかな。  傘もって来なかったな。  今日はほのかは体調不良で休みだし、何処にも寄り道しないでさっさと家に帰ろう。
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