最後にしたくない

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最後にしたくない

「最後って?」  冷静にと思うほど、声が震えて掠れていく。 「もしかしてお母さんに見つかった?」 「そんなヘマはしない、けど、僕の力がもうすぐなくなるんだ」 「何で?」  私たちが話せるのは、マサが力を持ってるおかげ。    マサの世界には、鏡を通して別世界をのぞけるという、不思議な力を持った人がまれに存在するらしい。なかでもマサは力が強い方で、だから私と話ができるんだって言ってたのに。 「なんで? マサなら多少力が無くなっても平気じゃないの?」 「いや、たぶん無理だと思う」 「何で?」 「それは……」  そうして唇を噛みしめ、マサは黙ってしまった。 「私、会えなくなるのは嫌だよ」 「僕だって嫌だ。でも、エイプリルフールの厄災が来るから」 「エイプリルフールの……厄災?」  初めて聞く単語の組み合わせに戸惑うしかない。  
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