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翌日。
目覚まし時計ではなく父の声で目を覚ました。
父の歌声で。
ベッドの脇にある時計を見たら四時だった。
「お父さん?」
まだ寝ぼけていた私は、部屋を出て廊下を歩きながら覚醒していく。
そして父が歌っているのだと気づいた。
「え?この歌......」
私が子守唄として聴いていた歌だ。
なんとなく嫌がった歌、そして。
『雨の日には歌っちゃダメよ』と、母に言われた歌。
父はベランダに立って歌っていた。
降る雨を見ながら。
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