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02.一緒に笑いあう日々を
放課後の教室でオリエント世界の王朝の移り変わりをたしかめ、文化祭のお化け屋敷に使う墓石や賽銭箱を段ボールで作り、夏休みの課外授業の終わりにコンビニでアイスをみんなで食べ、そして英単語クイズを出し合った高二の日々はあっという間に終わった。
できればこのまま高三になっても四人一緒に同じクラスで過ごせればいいけれど、クラス替えがあるからそういうわけにもいかない。誰と誰が同じクラスになるかわからないし、みんなバラバラになってしまうかもしれない。
新しいクラスで新しい人間関係が生まれてしまえば、琴音と一緒に過ごす時間も失われるだろう。そうすれば……。
「みたいなことを考えるとさ、気づいたんだ。オレは琴音のことが好きなんだって」
「だから、今のうちに告白しておこうってわけか」
碧人の言葉に深くうなずく壮真の頭に琴音の姿が浮かぶ。一緒に笑いあう日々を失いたくはないと強く思ってしまう琴音の姿を。
それだけじゃない。琴音の笑顔や笑い声を思い浮かべるたびに、壮真の胸は強く痛んだ。心に太い針が深く打ち込まれるような痛み。
「けど、もし告白してダメだったらって考えるとさ」
「ダメだったら?」
碧人が聞き返す。
「だって、オレが琴音に告白する。もしダメだったら、もうこの四人の関係は壊れてしまうと思うんだ。友だち付き合いはできないし、そうなれば芽依にも碧人にも迷惑をかけることになるだろ?」
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