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俺が弾くのは、いつも新宿駅南口の路上。
レベルの高いタイプがいて人だかりができてたり、楽器自体が
特殊で注目を集めるタイプもいる。
そういうのに紛れて、俺の存在は更に薄くなる。
目立つのは俺の、赤と緑の髪色くらいだ。
それはともかく、やはりマイペースに、その夜も俺は弾いていた。
いつもなら好きなメジャー曲のカバーとかやるんだけど。
高円寺(こうえんじ)でのライヴも近いし、バンドのほうの曲を弾いた。
うーん、長年、やってる曲だからなあ、慣れ過ぎてしまって
雑に流してるような。
アレンジちょっと変えてみるかな。
うん?これだとギターの主張が強すぎるか?
でも新しい試みは必要だよな、次の練習のときに相談してみよう。
こう、こうして、こう、これでどうだ!
「すごーい!!」
という声と共に大きな拍手が聞こえてきた。
「は?」
夢中になっていて気づかなかった。
俺と距離を取りつつ、俺の目の前に女性が立っていたのだ。
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