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16
私、ルルーナの青い唇を見て、気絶したメイドのシャロンをどうにかソファに寝かせ、ルルーナは焦った。いままで、誰にも気付かれなかった、夜の訓練を見られるなんて……
(これがお父様とお母様にバレたら、いま建設中の、私専用の温室を取り上げられてしまうわ)
それは非常に嫌。
あの温室で花の他に、こっそり解毒草を育てようと思っている――その計画がなしになってしまう。ここは目を覚ましたシャロンに本当の事を話さず、嘘をつくしかない。
そうよ。
夢よ。
シャロンは夢を見たと言えばいい。
「私は毒なんて飲んでいない、これは夢よ。この私が毒なんて、飲むはずかがないじゃい。――本当は飲んだのだけど。フフ」
「あの、ルルーナお嬢様……全て、声に出ております」
「え?」
気絶から目を覚ました、シャロンがソファに座っていた。――あらら、計画が全て口から出ていたみたいで、ルルーナは誤魔化す様に笑ったが、後の祭り。シャロンは冷ややかな瞳で、ルルーナを見ていた。
「それで、お嬢様はどうして毒を口にしたのかを、話してもらえますか?」
シャロン、的確な質問ね。これはルルーナだけの問題だと言っても、シャロンは納得しないかしら。それに、もっと毒のことを詳しく知るには、協力者が欲しいとも思っていた。
(シャロンに、お手伝いしてもらいましょう)
「いいわ、見られてしまったし。聞かれたのなら話すけど――他言無用でお願いします」
しかし、ルルーナは呪われていて毒で死ぬとか、運良く生きても18歳で死んで、7歳まで巻き戻るとかシャロンに言えない。
「えーっと。幼い頃に毒で死んでしまう夢を見たの……その夢があまりにも現実的で怖くて、毒に慣れようとしているの」
「夢? ですか……それで、毒に慣れようだなんて無茶しすぎです」
シャロンの言うことはわかるけど、ルルーナはもう9回も毒で死んで巻き戻っている。その原因が呪いでカサロではないなら、毒に慣れようと考えた。その考えは安直すぎると、ルルーナもわかっているが。
呪いを解くことなんて、たぶん出来ない。
死にたくない私は、これしか思いつかなかった。
「無茶でも怖かったの」
「そうですか……だからお嬢様は屋敷の書庫、図書でも植物、毒の本ばかり読んでいたのですね。数年前に屋敷で花の植え間違いをされた、花の影響だとばかり思っていました」
「えぇシャロン、それもあるわ。私は誰しも間違いはあると思うの。あのときは間違いだと気付いたけど……同じ様な事が起こったとき、早く発見できて、対応できるになりたいと思ったの」
スノーフレとスワーロンの花。
二つの花は似ていて、花以外の違いが分かりにくい。
自分の為、それもあるけど、
調べていくうちに、楽しくなってきた。
効果が違う、毒の種類。
効くか、効かないかわからない解毒草の種類。
(たくさんの書物を読んできたけど。けっこう間違っていたわ)
だから、毒になれるついでに解毒草をいくつか試して、見つけたのがパイナの葉だった。
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