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 私――ルルーナのはじめての死は、王立学園を卒業して18歳になったばり。そのルルーナを殺した相手は婚約者のカサロ。  婚約者、カサロとの出会いは7歳。  ルルーナの誕生会だった。  本日。主役のルルーナは好きな水色のドレスを身にまとい、訪れた来客に挨拶をしていた。そして、庭園に準備された奥のテーブルにいる、男の子に目を奪われた。 (あ、あの奥のテーブルにいる黒髪の男の子。あの子に似ていない?)  当時、7歳のルルーナには初恋の男の子がいる。  ルルーナが初恋の彼と会ったのは2年前、ルルーナが5歳のとき。   だけど幼かったルルーナが覚えているのは、黒髪で優しい男の子、ただそれだけ。    彼がどこの貴族なのかも、名前も知らない。  ルルーナがお父様についていった王城の書庫で出会い、庭園を手を繋い歩いたその記憶だけ。ルルーナが目を覚ますと、お父様と帰りの馬車にルルーナは乗っていた。 『お父様、私……寝てたの?』 『ああ、ルルーナは待ちくたびれてしまったようで、庭園のベンチに寝ていたよ』 『ベンチ? 私の近くに誰もいなかった?』 『側にはメイドがいたが、ルルーナは1人だったよ』 『私、1人……』  いなくなったルルーナを探していたお父様は、庭園のベンチで眠る私を見つけた。その側にはあの子ではなくメイドが居た。    あの日以来、お父様についてルルーナが王城に行っても、一緒に遊んだあの子には会えなかった。   (あの席の子が、あの子だったらいいな)  ルルーナは思い切って、誕生会に来ている黒髪の男の子に「昔、私と一緒に遊んだ事はない?」かと聞いた。その男の子はニコッと笑ってくれた。 (笑ったわ、この子に間違いない)  ルルーナはあの日の彼だと信じて、伯爵家カサロ・ローリングを婚約者へと選んだ。ルルーナの婚約者となったカサロは、ルルーナに優しくしてくれた。 『ルルーナ嬢、庭園のバラが見頃だよ。庭を散歩しないかい?』   『えぇカサロ様、行きましょう』  ルルーナを第一に考えてくれて、昔と同じで優しいカサロを、ルルーナはもっと、もっと好きになった。 『ルルーナの誕生日プレゼント。君が欲しいと言っていた、花の本を見つけたよ』 『嬉しい。ありがとうカサロ』   『いいんだよ。僕の誕生日に、2人で住む屋敷を君にはもらったからね』  ルルーナは愛するカサロが欲しいと言った宝石、領地、鉱山、別荘と彼が欲しがるもの全てをプレゼントした。だが、カサロからのお返しのプレゼントは毒入りのクッキーだった。  学園の卒業の後。いつもと変わらない様子で話があると、ルルーナをお茶に誘い。笑顔で、毒入りのクッキーをルルーナに食べさせた。 『え……な、――何これ? ……カ、カサロどうして? あなたは私の事を愛していると……い、言ってくれたじゃない?』  バラが見渡せるテラスでルルーナは血を吐き、カサロが好きだと言っていた、水色のドレスが真っ赤に染まる。喉は熱く咳き込み、倒れ込むルルーナを非情な表情で見下ろすカサロ。  そして病気だと思っていた両親も、カサロは同じ手口で、殺していたとルルーナに話し。 『ごめんね、嘘の愛の言葉などいくらでも言える。僕はその水色も嫌いだし、ルルーナのことも愛していない。今まで辛かった……だって僕は君に触るのも、そばに居るのも虫唾が走った。まあ全ては金のためだったから、我慢できたよ。――僕には愛するリボンがいればいい』 『私もです、カサロ様』  テラスの床で毒で息が荒く、目もうつろになったルルーナに、カサロはピンク色の髪をしたうるわしい女性――彼と噂があった男爵令嬢リボン・サンタリアを優しく抱きしめた。 (やっぱり、あの噂は本当だったのですね。私にささやいた愛の言葉も全て嘘だった。私はこんなにも尽くして、貴方を愛していたのに……貴方は私からすべて奪っていった……)
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