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(どうすれば、私は毒で死なない?)
ルルーナは考え、悩み、逆転の発想に行き着く。
なにをしても毒で死ぬのなら、先にルルーナが毒に慣れて仕舞えばいいのだと。10回目の巻き戻りをして、7歳に戻ったばかりのルルーナは、さっそく行動に移すことにした。
(毒になれるなんて無謀な考えだけど……死にたくない)
しかし毒キノコ、毒沼、シロミの毒の花を見つけに行くのは場所が遠すぎる。――ルルーナはそうだと、あのメイドが淹れたお茶を作ることにした。
書庫の植物図鑑で調べた。――9回目の死ぬ前、メイドが「このスワーロンの白い花のお茶は、リラックス効果がありますよ」ルルーナはその言葉を信じて、毒茶を飲んだ。
このスワーロンの白い花は――いま貴族達と間で流行っている観賞用の花で、誰もこの花に毒があることを知らない。バラと一緒にジャム、お茶にして飲んでしまったら、ルルーナと同じ目にあうだろ。
そのことを庭師に教えるべく、図鑑を持ってルルーナは庭園に行った。そしてうちの庭園にもあった、スワーロンの花の前で図鑑を開く。
「ルルーナお嬢様は、スワーロンの花がお好きですか?」
「好きよ。この図鑑にも載っていて……そうだ、おじじこの文字が読める?」
庭師のおじじに、スワーロンの花のページをそれとなく見せた。おじじはお父様かお母様に貴族の間で流行っていると言われて、この花を植えたのだろう。
王都の花屋でも、スワーロンの白い花の苗が売っているらしい。おじじは図鑑を見て、顔を青くしていった。
「なんと! 離れてくださいルルーナお嬢様……この花には毒があります!」
おじじは庭師小屋へと向かい、自分の用の使いふるされた図鑑を持ってきて花を調べる。おじじは瞳を大きくして、ルルーナに部屋へ戻るよう言うと、お父様のところへと向かった。
「ローすぐに、その花を調べなさい」
「かしこまりました、ご主人様」
おじじは、この花を詳しく調べると。
この花はスワーロンの白い花に似た、毒花スノーフレの花だったと判明した。
その事を至急、お父様は王宮に伝えた。
しかし、貴族達の庭園に咲く花はスワーロンの花ばかりだった。スノーフレの花が咲いていたのはうちの庭園だけであった。
(うちの庭だけだなんて――)
そして。
スワーロンの白い花には、リラックス効果があった。あの日、メイドはこの事を知らず、ルルーナの為にあのお茶を入れてくれたんだ。
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