エイプリルループ

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「ずーっとこの日が続けばいい」  願いが叶うというので有名な近所の神社で絵馬を書いた。  それは四月一日のこと、そう、エイプリルフールだ。俺は神様に対して嘘の願いを書いた、あとから神社の人に嘘でしたと言えば取り下げられるのではないかと思っていたから。  しかし、学校帰りに神社に向かうと……絵馬が見つからない、社務所に行っても受け付けの人もいない。 「どうしよ……」  仕方がない。まあ、あんな絵馬が本当になる訳がない。  帰宅後の夜、なかなか寝つけない。ずーっとこの日が続けばいいなんて、なんで書いたのか。堂々と嘘をつけて、普段の偽りの仮面をこの日だけは剥がせるような、そんな気分にさせてくれるから四月一日が好きだから。  次起きる時はまた優等生の仮面を被ることになる、それが憂鬱だ。  翌朝。スマートフォンのアラームで起きて一階のリビングに降りる、母さんが朝ごはんをテーブルに並べていて父さんは新聞を読んでいる。 「おはよう……?」  ごく普通の光景な筈なのに何か違和感を感じるのは何故だろう。テーブルの朝ごはんに広げている新聞……ああ、そうか、朝ごはんが昨日と同じだからか、二日連続で同じなんてなかったから。でも新聞はさすがに違うだろうと、隣から新聞の日付けを見た。 「嘘だろ」  日付けは四月一日だった。  エイプリルループが始まる。  俺は神様に懺悔した。  
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