男色川柳

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男色川柳

「梅之丞、拙者は、その、違うのだ」 「え、そうなの?」 「とうに元服したというのに。あれだ、なんというか、女人も知らぬまま来たのだが」 「あら、じゃあ、念弟をお探しで?」 「それも違う。どうもいけない。その、なんというか、違うのだ」 「では、如何に?」 「どうもこうも、わからぬ」 「しようのない於方」 「嗚呼、恥だ。このように思うのは、恥なのだ。腹を切る」 「野暮はおやめください。相わかった。まったく、本当にしようのないお侍だのう。そんなナリして、子猫だなんて」 「面目御座らん。しかし、もう・・・」 ”尋常に いたせいたせと 浅黄裏” 「こら、焦るな、野暮天」 然らば、新右衛門様、 力を抜いて、俺に預けてくださいませ。 ゆっくりだよ。 せっつくのはおよし。 こう、ゆっくりでなければ、裏門は開かぬぞ。 なぁ新右衛門様、そうだろう? お前様はまだ蕾なのだから。 ”いち卜、に卜 さん、し卜 菊は モウ開く” 「恥なんぞであるものか」 俺が咲かせてやるさ。 どんなに良いか、すぐにわかる。 「ぁあっ梅之丞っ!」 ”裏門は 野暮な浅黄も 猫撫でる” にゃーん、あん、あん End おまけ 川柳解説 https://estar.jp/novels/26232573/viewer?page=10
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