1 転生ですか?

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1 転生ですか?

 1ー1 俺が死んだ日  覚えているのは、奴らへの憎しみと怒り。  燃えるような赤い髪をしたその女は、俺に死を告げた。  そんなことは、もう、どうでもいい。  なぜなら、俺は、無実の罪で王城の地下の牢獄に囚われている間に、訪れる様々な女たちによって凌辱を受け、生きることに絶望していたから。  訳もわからない罪で俺は、貶められ家族も奪われた。  もはや、死は、俺にとって救いでしかなかった。  俺は、かつてこのルシナード王国の第1王女の婚約者だった。  将来の国父となるべくして王配教育を受けてきた俺がなぜ、いわれのない罪により死ぬことになったのか。  それは、このルシナード王国を我が物とすることをたくらんだ宰相ラーナ・クルシーアのせいだった。  ラーナは、辺境伯家の3男で将来の王配となる俺が邪魔だった。  だから、あの男を連れてきたのだ。  それは、この世界に100年に1人しか生まれないといわれる聖者を名乗る者だった。  ラーナは、聖者を第1王女に近づけると篭絡させた。  俺は、正直、側室でもいいとさえ思っていたから、聖者が第1王女といい仲になってもどうってことなかった。  だが。  聖者とラーナは、俺を排除するために俺を聖者を暗殺しようとしたなんて罪をきせて投獄した。  それだけじゃない。  俺の家族までも次々に陥れて忙殺していった。  俺は、地下牢でラーナに凌辱されながらその話を聞かされた。  それでも、俺には、何もできなかった。  そう。  何もできなかった。  生きていたときの俺には。  俺は、苦しめられた挙げ句に処刑された。  全身を鋭い槍に貫かれながら俺は、これで解放される、そう、思っていた。  これで、家族のもとに逝ける。  苦しいだけのこの世界から去ることができる。  そう、思った俺の耳元で女の声がきこえた。  「君は、復讐を望むか?」  それは、残酷な響き。  「女たちの争いに巻き込まれて無惨に生を散らせる哀れな男よ。お前は、自分を殺した者たちに復讐をする権利がある」  復讐?  俺は、首を振った。  俺は、そんなことは、望まない。  俺が望むのは。  幸せだった頃の家族たちの顔が浮かぶ。  ただ、愛しい人たちを守りたい。  それだけ。  「いいだろう」  女は、俺にささやいた。  「君にチャンスをやろう」  そして。  俺は、事切れた。
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