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2 魔法学園の花ですか?
2ー1 月下の騎士
このルシナード王国では、15歳で成人とされる。
とはいえ、まだまだ半人前。
貴族の跡取りたちは、学ぶことが多い。
それゆえ、貴族の嫡子である女たちは、王都にある魔法学園で4年間領地経営や剣や、魔法を学ぶことになる。
男たちにも学校はある。
それは、貴族の嗜みやら社交界の決まり事やらを学ぶ学校だった。
俺の兄上たちもこの淑男学園で学んでいる。
本来、俺も15歳になったらこの淑男学園、別名、花婿学校で学ぶ筈だった。
しかし。
俺は、母上の働きにより王家からもエルガーナ辺境伯家の跡取りとして認められている。
それゆえ、男でありながら特例として魔法学園で学ぶことになった。
ちなみに母上から王家には、第一王女との婚約破棄を申し込んでいたが、今だ、婚約は、破棄されてはいない。
なんでも第一王女の意向だとか。
おかしな話だ。
前の生のときには、俺に見向きもしなかったのに、こちらから婚約破棄を申し立ててみれば拒まれるとは。
だが、母上の俺が王配には、ふさわしくないという意見には賛成するものが少なからずいるらしい。
というのも、この世界では、大人しく従順な男が好まれるのだが、俺は、それとは真逆だからな。
俺は、前世の記憶が目覚めてから、つまり、前世で無実の罪で処刑されて時を逆行してからの5年ですでにもう数えきれないぐらい死んできた。
危険な魔物、特に災害級とされる魔物ばかり探しては倒してきた。
前世の俺だって1人では狩れなかったような奴らを俺は、1人で狩った。
1人で戦い、死んでは生まれ変わり、そして、戦う。
こうして俺は、どんどん強くなっていった。
今では、俺は、ルシナード王国の守護神とまで言われるようになり、他国からも名を知られるようになっていた。
強くなり名が知られるようになるほどに俺の婚期は、遠退いていった。
俺は、母上にそっくりだと噂されるほどの美貌と父様譲りのがたいの良さを持つ男騎士となった。
髪も最初は、短く切っていたんだが、ロタが泣くのでまた、伸ばした。
吟遊詩人は、俺のことを月下美人とか月下の騎士とか歌った。
王女殿下がさっさと婚約さえ破棄してくれればきっとすぐに婚約者の1人や2人は、見つかりそうなものだ。
実際、何人もの名だたる貴族や騎士たちに言い寄られている。
この世界は、貞操観念がゆるゆるだからな。
例え俺が王女殿下の婚約者であっても俺を狙う物好きな女たちはいるのだ。
もう、無理矢理押し倒されそうになることも度々あった。
女たちは、落とした男の数を競うようなところがあるからな。
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