2 魔法学園の花ですか?

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 2ー10 知りたいのだ!  「まさか!」  宰相の娘であるルイーズ・クルシーアが立ち上がり俺を指差した。  「男がこのクラスの首席?そんなバカな!」  「ほんとのことなんだよ。私も信じられないが確かにエルガーナが今現在、このクラスで最も優秀な生徒だ」  ミラン先生が淡々と話す。  「特に魔法理論についての論文は、私も唸らされた」  「くっ!」  ルイーズが苦々しげに俺を睨みつけた。  俺は、自己紹介もすんだしもとの席に着席した。  教室の中は、ざわついていた。  この世界では、男は、女にかばわれて生きていることが多い。  だから、女たちは、男が劣等種族であるかのような勘違いをしている者がほとんどなのだ。  確かに、男は、戦いでは女に勝てないかもしれない。  だが、男は、決して劣等種族などではない。  なぜ、男がここまで貶められているのか?  まるで、子を作るための道具か、さもなければ女たちの慰み者でしかない。  俺がオルナムに生まれ変わる前、前世のローだった頃は、ここまでひどい差別はなかった。  暗黒の300年の間にいったい何があったんだ?  俺は、それが知りたかった。  俺が家庭教師の先生と調べたことによるとこの300年の間に起こった事件で後世に残されているものは、わずかしかない。  まずは、魔王を筆頭とした魔族が現れたこと。  俺がローだった頃には、魔王などというものは存在しなかった。  そして、ダンジョン。  これも300年前には、なかったものだ。  俺は、宰相を倒し、家族の安全が確立できたらこの謎を解きたいと思っている。  暗黒の300年間の謎を解くこと。  俺の今生のもう1つの目的だ。  別に、男たちを救いたいわけではない。  女たちを責めるつもりもない。  ただ、知りたいのだ。  かつてローであった俺は、なぜ、男がここまで弱体化したのか、知りたかった。  かつて、男も剣をとり戦っていた。  それが今では、牙を抜かれ、飼い慣らされてしまっている。  男は、公には仕事すら与えられない。  いや、たった1つだけ。  それは、男娼となり身をひさぐこと。  それだけが男たちに与えられた己のみの力で生きる道だった。  いったい何があったのか。  何がこんなにも女と男を隔ててしまったのか?  俺は、単純にそれが知りたかった。
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