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1ー8 前夜
俺は、母上に頼んで魔物討伐に連れていってもらうことにした。
今の俺に足りないものは、経験だ。
本当の戦いに身を置かなくては、経験値は、あげられない。
父様は、俺がまだ幼いし危険だからといって反対したが、母上は、俺を一緒に連れていってくれることになった。
出発の前夜。
俺は、防具の準備をしながらも少し、ワクワクしていた。
俺は、別にバトルジャンキーなわけではない。
確かに前世の俺は、戦いに明け暮れていた。
だが、別に戦うことがすべてではなかった。
はず、だ。
前世では、俺は、生涯1人で生きていた。
王に忠誠を誓ったローは、生涯、女と関わることもなかった。
つまり。
俺は、前世では、一生童貞だった。
俺は、ぶんぶんと頭を振った。
俺の今生での第一の目的は、家族を救うこと。
そして。
俺は、思っていた。
もし、望むことが許されるなら。
俺も、母上のような立派な女騎士と恋をしてみたい。
というか、将来、領地を継ぐなら嫁は必要だし。
でも。
俺は、きっと前を見つめて気を入れ直す。
しっかりしろ!
俺には、数年後に待つ破滅から家族を守るという使命があるのだ。
その使命を果たすまでは、そんな浮わついた話を考えるべきではない。
それに。
母上に頼んでいるとはいえ、まだ、俺は、王女殿下の婚約者なわけだし。
俺が第一王女の婚約者である以上は、宰相たちのターゲットなわけだし。
このままでは、また、同じ未来が待っている。
もう二度と、大切な家族を失いたくはない。
そのためにも俺は、もっともっと強くならなくては!
もっともっと。
この世界のどんな理不尽も撥ね飛ばせるほどの力が俺は、欲しかった。
俺は、ベッドに横になると、天井を見つめた。
いったい、どうすれば運命を破壊できるほどの力を得ることができるんだろう。
俺の脳裏にかつての未来の思い出がよぎった。
俺は。
ぎりりっと俺は、歯を食い縛る。
もう、あんな未来は、嫌だ。
なんとかしなくては。
俺は、頭がぐるぐるするほどに考えていた。
考えろ。
何か、ある筈だ。
俺が、この現状を突破できる方法が必ずあるはずだ。
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