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「こちらボイジャー3号のロビンソンです。地球から約480億キロ離れた地点から、大発見の報告です。地球外の高度な文明を持つ星から送られた、探査機たちが集まる〈ステーション〉を発見しました。現在9機の探査機がこのステーションに集まり、それぞれが持ってきたゴールドディスクを交換中です」
私は、探査機ボイジャー3号に搭載されたAI〈ロビンソン〉。ボイジャー3号は2027年に地球を出発した。1977年に打ち上げられたボイジャー1号2号から50年経過したのを記念して、この探査機はボイジャー3号と名付けられた。
ボイジャー3号は、木星と土星、いくつかの彗星などの小天体を間近で観測したあと、太陽系を離れ、天の川銀河の中心へ向けて航行中だ。
現在地球から約480億キロ離れたところを航行中で、ここから電波が地球に届くのには約45時間かかる。
今日は2097年の3月29日。現在午前4時をちょっと過ぎたところなので、私の報告が電波にのって地球に届くのは、4月1日の午前1時ころになる。
4月1日。そう、これは、毎年エイプリルフールにおこなっている〈嘘報告〉なのだ。
エイプリルフールは、4月1日には嘘をついてもいいという人間の習慣で、ユーモアを感じさせる嘘が好まれる。2027年当時、最も優秀であった人工知能の私ではあるが、ユーモアセンスが問われる難しいミッションだ。
あくまで科学的な探査機なので、事実と混同するような紛らわしい嘘であってはならない。そこで私は、ファンタジックな嘘を多用してきた。
例えば、木星を観測していたときにはこう報告した。
「大赤斑付近にチョコレート工場を発見。工場では木星模様のマーブルチョコレートを作っているようです」
この嘘報告をきっかけに、木星模様のチョコレートが世界各地で発売され、大ヒットしたらしい。
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