0人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
6. 嘘と裏切り
夏海と付き合い初めて、2ヶ月が経った頃…。
俺と、彼女の間に何か隔たりが出来たように感じ始めていた。
どこか素っ気なくて、
「夏海、今日一緒に帰れないか?」
「あっ…。ごめん、今日も用事があって無理…。」
「あっ。そーか、分かった。」
毎回、こんな感じなんだ。
やっぱり、俺に対して何かあるのだろうか?
最近、夏海の事を考えると胸が熱くなる。
それと同時に、何か嫌な予感がした…。
˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩
家に帰りいつものように宿題をしていた時だ。
母さんが、俺の部屋へと慌ただしく走って来た。
「どっ、どーしたの!?」
「⋯⋯⋯。」
「母さん?」
「たっ、大変よ!!
ついに…あの予言の時が来たらしいの!」
「へっ?まさか、災い…。敵が来るのか!?」
「えっ、ええ。そうみたいなのよ!
水神様がそう仰ったらしいの…。だから、備えときなさい⋯。」
「うん、分かった。ありがと、母さん!」
そう言って、すぐさま教科書を閉じ山へと修行に向かった。
あの夢が本当なのだとしたら、俺は体内にある力を使いこなせるようになったりしないといけない。
というわけで、能力を利用して氷で聖剣作ったり遥花と混合技を作ったりと沢山、今出来る事を一つでも増やさないとだ。
まずは、『樹氷』、『しまり雪』、『冬恋雪』を極める。
樹氷で聖剣を作り、冬霙《ふゆみぞれ》を使って威力を上げ切れ味を良く鋭くする。
つぎに、しまり雪を手で操作しながら重量を増やす。
1番の混合技が、遥花の技に桜吹雪がある。それと同時にしまりと混ぜつつ嵐を起こすのが最大の技だと考えている。
「よし!!」
一通り、練習をボロボロになるまでやり終わった。
その後、遥花を呼び混合技の特訓や遥花自身の技を見てあげた。
「お兄ちゃん、どうかな?」
「遥花、よく頑張ったな!すっごく上達してるじゃないか!」
「えへへ!」
「いよいよ明日、頑張ろうな!」
「うんっ、お兄ちゃん!」
(俺は、絶対に仇を許さない!
必ず、俺らが勝って災いを起こさせようとする報いをたっぷりと受けてもらう!)
2人でクタクタの足を動かしながら、家へと帰った。
母さんは、ものすごく泣きそうな顔をしていたが
「よく頑張ったね。お風呂、沸いてるから入っておいで」
と、暖かく出迎えてくれた。
先に、遥花をお風呂へ行かせ俺は術を頭の中でイメージをしていた。
ボソボソと言っていると、
「お兄ちゃん、お風呂次いいよ〜!」
「分かった、ありがとう!」
そして、お風呂にゆっくりと浸かりご飯を満腹になるまで食べた。
そして、早めに睡眠に入ったのだった。
˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩
今日は、いよいよ敵との決戦だ。
俺は、負ける気なんてさらさらない。
遥花の方は、少し震えている⋯怖いのだろう。
「遥花、もし本当に無理そうだったら必ず俺に言うんだぞ?」
「うん⋯わかった。あり、がとう」
遥花は、ニコッと笑いながらそう言った。
落ち合う場所は、花ヶ崎海浜公園だ。
ここは、かつて父さん母さんが地球滅亡を防いだ思い出深い場所でもあるからこそ更に負ける訳には行かない。
覚悟を決め、遥花と2人で海浜公園へと向かった。
道のりがどんどん険しくなっていくにつれて足が鉛のように重かった…。
まるで、地面に足を引きずり込まれそうな感じだ。
1時間ほどかけてようやく花ヶ崎海浜公園に到着した。
息詰まる心を追い払うように俺は、空を見上げた。
空は、まるで自分達を応援しているようでスーッと気持ちが晴れていくような感覚を覚え、何故か笑みが零れた。
「なあ、遥花。俺たちなら、ぜってー大丈夫だから元気出そうぜ!」
吹っ切れたような俺の表情を見た遥花は、何が起こったのか少しの間、放心状態だった。でも、すぐ何かを察したのか笑顔になった。
「それにさ、この2人だからこそ最善の力が出せるんだよな!」
「うんっ、ありがとね!お兄ちゃん!」
互いに励まし合って心が落ち着いた俺たちの元に、黒い影がやって来た。
この感覚、この身の毛がよだつ感じ…忘れもしない⋯。
俺の父さんを殺した犯人の奴ら!!
顔はまだ見えないが、憎悪と憤慨で心臓が痛い。
「やぁ、瀬戸内紫苑。この日を待ちわびていたよ!」
どこか、聞き覚えのある声…。
姿を見た時、俺は絶望のどん底に落とされるような感覚に襲われた。
何故かって?
奴らは⋯陽都と夏海だったんだから…。
「ど、どーしてお前らが!?」
「あのねー、あんた鈍すぎんだよね笑。まじで笑。」
「夏海…どーしちゃんたんだよっっ!?」
(騙されていたんだな⋯俺は。馬鹿みたいに友達ごっこをしていたのか?)
「どーしたって、あんたが気づかなかったのが悪いんじゃないの?」
「じゃあ、俺と付き合ったのは⋯?」
「そんなの、あんた達2人をこの世から消しちゃうためのタイミングを見計らうためだったんだよ!」
「そっ、そんな…。」
目の前が、暗い闇に包まれる。身体が熱い。
周りが見えず立ち尽くしていると、遥花が
「あなた達のね、くっだらない私情で私達の家族をぶっ壊されてたまるかよ!」
遥花が、こんなに怒るのを初めて聞いた。
「それだけじゃなくて、お兄ちゃんの心を弄んでさあんた、ふざけるのもいい加減にしろよ!」
その声が、戦いの合図だったようで夏海が
「行くぞ!」
と身構えて遥花の方へ釵《サイ》を持って走り出しているみたいだった。
遥花は、俺と同じで武器を使わずに春の力を借りる。
「夏海、あんたを許さない!!
穏術、春陽炎《はるかげろう》」
綺麗に舞を踊るような、動きが特徴で相手の視界を揺らがせる事が出来る。
そして、その隙に新緑薫風で相手を吹き飛ばす。
これが、春の力が宿りしものの技の1部だ。
でも、まだ己を解放しきれていない遥花にとってきついんだ。
「遥花、やりやがったね!そんじゃあ、次は私からだよ!」
面白おかしそうにそういったのもつかの間、
「清夏術、夏霞《なつがすみ》」
霞を辺り一体に充満させ、空へと飛び釵をフェンシングのように構え太陽を味方に熱を剣先から放出する。
「何が、家族だ。そんなんのために、私達に復讐しようなんて甘いねー!」
ざまーみろと言わんばかりに満面の悪意ある笑みを術と共に見せた。
その時だった、遥花を纏う金色の光が突如現れた。
その神々しさに、視界が開けてくる。相変わらず、熱さは消える事がないみたいだ。
遥花の身体に天使のような羽と輪が現れた。
「私を屈辱するとはまたいい度胸を持っていらっしゃること。この春神である『スピナー』によって裁きを下して差し上げましょう!」
急に、何が起こったのか俺には不思議だったがすごい力を手に入れたのは間違いないみたいだ。
「SpringMoon!」
と、春神様(遥花)が叫んだ時、
夏海が放った術を打ち消すようにそして、太陽が崩れるように散っていくのが見えた。
「うそ…だろ?」
その瞬間、遥花は夏海の力を一時的に奪い、青嵐や驟雨などを夏海へ放った。
「うわぁぁぁぁ!!!」
夏海の、生々しい叫び声が俺の身体中を駆け巡っていくようで怖かった。
けど、それも一瞬で…気が付くと夏海を遥花が抱えてフラフラとこちらへ近づいているのが見えた。
「おにい…ちゃん、私やった…よ?」
ボロボロになった妹を見て、俺の目からは涙が溢れていた。
「よく、頑張ったな…っ。あとは、任せて!」
倒れた遥花を受け止めて、俺はゆっくりと砂の上に寝かせた。
「やーっとやる気になったみたいだねぇ!
し、お、ん、くーん?」
(このウザイ言い方にとてつもなく癪に障るんだよ)
「お前には、人の心がないのか?あんたの兄妹が殺られたんだぞ?」
「そんなん、どーでもええわ!」
「呆れた奴だ…。」
(確か…陽都の母親が関西の出身でめちゃくちゃ方言を使うって聞いたことがあったけど、普段は出さないようにしているらしい。)
「そんなに、必死なんだなお前も。」
「当たり前に決まっとるやないか!」
戦闘態勢に入り、構える。
「容赦はしないからな!?」
「分かっとるわ!」
そして、戦いが始まった。
やはり、陽都は強い。すると、
「秋麗術、星月夜《ほしづきよ》」
という、星が降ってくるような美しくも荒い術を出てきた。
「いっ、痛い…。」
次々と落ちてくる棘のある石に俺の身体はヅタボロになっていく。
もちろん、やられっぱなしな訳には行かない。
「寒術、冬霙《ふゆみぞれ》」
氷の刃で、陽都の胴体を深く切り込んだ。
血が俺の顔にまで飛び散って来て、思わず目を瞑る。
するとその血が、
秋振舞や千秋楽などの技に変わっているのに気が付いた。
「ヤバい!」
秋のカラッとした風を巻き起こす陽都の技が俺の皮膚を割くようだ。
ものすごく、痛いっ。
けど、まだ案ならある!
「寒術、雪づつみ!」
そして、この技で体を覆った。これなら、勝てる!
攻撃の振動が、中まで伝わってくる。
もう少しだけ、持ってくれ!
そう願っていた時、術が止まった。
その隙に、氷を破壊してもう一撃食らわせた。
「おりゃー!」
バキバキバキッ
とても鈍い音が海浜公園に響き渡った。
その音の数秒後、陽都は地面に倒れた。
これで、俺達の敵討ちは終わった。
休む間もなく、血を流しながらも二人を拘束した。
まず、二人の切られた箇所を氷で固める。痛いだろうが、やっぱり死なせたくは無い。
それに⋯色々と話を聞きたいからな。
ようやく、全てが片付いた頃いよいよ限界がやって来た。
視界がボヤけて渦を巻いている。
(げん、かいだ⋯。)
そこで意識は途切れた。
˚✩∗*゚⋆。˚✩☪︎⋆。˚✩˚✩∗*゚⋆。˚✩⋆。˚✩
夢の中で誰かが呼んでいる⋯?
「紫苑、おーい紫苑!」
どこか懐かしい声。
「父さん!」
「紫苑、久しぶりだな!そんなにボロボロになってまで⋯戦ってくれたんだな。」
普段は、笑顔でいる父さんの顔とは違いポロポロと大粒の涙を零していた。
「だって!父さんの…父さんの仇なんだもん!
倒さなきゃって、なるに決まってるよ!」
俺は、ほぼ泣き叫ぶようにして思いをぶつけた。
初めて、こんなに弱々しい俺の姿を見た父さんは涙を拭いそっと抱き締めてくれた。
「よく頑張ってくれたな!」
「うんっ!!!」
と、今だけしか感じることの出来ない父の温もりをひたすらに身体に焼き付けていた。
そして、徐々に気が遠のいていく。
「じゃあな、紫苑。」
最期に、そう聞こえたような気がした。
目が覚めると、花ヶ崎海浜公園の木陰に運ばれていた。そこに、水神様が座っている。
「よーやく、目が覚めたようだのぉ。お主と遥花の傷は治しておいた故感謝するが良い。」
「あ、ありがとうございます!」
ガンガンする頭を起こし、水神様の元へと移動した。
「あの⋯水神様。」
「なんじゃ?」
「さっき、気絶していた時父さんに会ったんです。」
「そうじゃったのか…。」
「はい、それで思ったんです。父さんを生き返らせる事は出来ないのでしょうか?」
「亡くなった者を生き返らせる事は簡単では無い!だがな、方法はあるにはあるぞ。だが、何故だ?」
「それは⋯遥花にもう一度失ってしまった父さんの顔を温もりを思い出して貰いたいんだ。」
「それって⋯?」
「遥花は、元気に見えると思いますが過去の父さんの最後の瞬間⋯刺された時精神的ダメージで記憶を失ってしまったんです。だから、父さんの顔も思い出すことが出来ない⋯状況なんです。」
「なるほど⋯だがな、わしはもう力を貸さないと約束したんじゃよ。」
「そっ、そんな⋯。」
「人の話は最後まで聞くのじゃ!」
「はっ、はい!」
「約束はしたがな、わしも戻ってきてもらわんとごるのじゃよ⋯封印されている半分を解放して貰わんとこの身体の持ち主の力を使い果たしてしまうんじゃよ…。」
「そんな⋯。」
「だから、教えてやろうお主に⋯死者復活の方法を。」
「あ、ありがとうございます!」
俺は、頭を深く深く下げた。今の俺にはこれしか出来ない。
「まずは、あの三人をおこしてからじゃ。」
俺は、3人の元へ駆け寄り粉雪を降らせた。
あまり、力が残っていないから長時間は無理がある。
究極まで冷えたのを頬に振らせ続けた。すると、
「うっ⋯。」
遥花が意識を取り戻しかけていた。俺は必死に呼び続けた。
「遥花!おい、遥花!」
「おっ、お兄ちゃん⋯?」
「良かったー、動けるか?」
「う、うん。」
「2人を起こすのを協力して欲しい。」
(やっぱり、あそこまで腹が立っている姿を見たあとに頼むのは⋯無理だったかな?)
「うん、いいよ⋯。」
俺の顔を見て何かを感じ取ってくれたのか、協力してくれると言ってくれた。
「夏海ちゃん、起きてよ!こんなところで死なせる訳には行かないんですけど⋯。」
少し、キレ気味ではあるけれど声掛けをしてくれている。ありがたい。
「陽都、起きろよ!」
何度も何度も声をかけ続ける。
五分くらい経った頃、ようやく2人は目を覚ました。
「私、生きて⋯る。」
「夏海、俺も生きて⋯るよ。」
二人の正面に立つ俺達を見るや否や、顔が険しくなっていくのが見ててわかった。
「なっ、なんで殺さないんだ!?」
「いくら仇とはいえ、こんな俺と仲良くしてくれたんだ。殺すなんて出来るわけないじゃないか!
それに、本当は俺が内心塞ぎ込んでいた事に気づいていたからこそ俺の本心の気持ちを読んでくれていたんじゃないのか?」
「そんなの、買い被りすぎだよ。ただね、楽しくなってしまったんだよ⋯皆と一緒に過ごす日々が。紫苑の肉親を殺したのに、最低だよな⋯。」
「陽都⋯。」
二人でこう話している時、遥花達も話していたみたいだ。
「遥花、私を殺さなくていいの?」
「正直、お兄ちゃんを騙したことがまず憎い!なんでそんなこと⋯⋯。」
「私ね、お父様に指示され続けて来て⋯桜華高校に入学させられたのもあなた達目的で、うんざりだった。遥花のお父さんを切ってしまった事が決して軽いことでは無いと分かっているわ。
でも、紫苑と居るとそんな縛られた事なんて忘れて自由でいられたの。
そうしているうちに、紫苑の事を本気で好きになってしまって⋯。戦いたくない、嫌われたくないって思ったけどそんなに甘くはなくて⋯。」
「そうだったんだね⋯。」
「本当に、ごめんなさい!」
土下座をする夏海の姿を見て胸が苦しくなる。
「顔上げてよ⋯。」
そうして、立ち上がらせた時お兄ちゃんに呼ばれた。
「遥花、今から四人で協力して父さんを生き返らせるんだ。」
「へ⋯?」
「もちろん、協力してくれるよな⋯夏海、陽都?」
「「はい!」」
「それで、この後はどうすれば良いですか?」
水神様に聞きに行った。
「四人で手を繋ぎ輪になるのじゃ、そして春夏秋冬の力全てを出し切り限界を超えるのだ。」
そして、顔を見合わせ皆で手を取り合う。
「「「「うぉぉぉぉ!!!」」」」
それぞれの力が繋がる感覚がなんとなくだけど伝わってくる。
限界突破は、容易なものじゃない。
そんなのは、分かっているんだ。
でも⋯父さん、父さんとまた会って話を沢山したいんだ!!
皆の熱い気持ちが、力が更に上を限界を遥かに超えていた。
すると、遥花の姿がまた『スピナー』という春神の姿へと変化した。
春の温かみを持った、新緑が見て感じ取れる。
次に、陽都が『オータムニア』という名前の秋神の姿へと変貌した。
秋のカラッとした風を身にまとっていて、赤や黄色などが多く目立っている神だ。
それから、夏海が『サマータ』という名の夏神の姿へと変わった。
夏の熱い日差しや透き通るような青い海のような感じを出していて、特に瞳が綺麗だ。
それから、俺は『ウィンハ』という名の冬神の姿へと変わっていった。
それぞれの限界を超えた姿に驚きを隠せないところではあるが、気を抜くと元に戻ってしまう。
「よし、このまま天に手をかざし叫ぶのじゃー!
瀬戸内神龍の魂よ今世へ戻り再び甦れ、と!」
こくりと頷き、
「「「「瀬戸内神龍よ、今世へ再び甦れ!」」」」
すると、かざした手から黄金に輝く光が天へと登って行った。
何が起きたのか、よく分かってはいなかったがとにかく集中をした。
白い何かが、黄金のゲートのようなものに乗っかって下ってくる。
もしかしたら、夏海と陽都の親かもしれない⋯。と思っていた時だった。
「父さん⋯⋯⋯。」
「えっ、何言ってるの?もう亡くなってしまったんじゃないのか⋯?」
「確かに亡くなったが、本当に蘇ったんだ今世に。」
陽都が言ってくれたその言葉を聞いてやっと心につっかえていた物が取れたような気がした。
ゆっくりと降下してくる父さんから片時も目を離さなかった。
地面に着いた頃、父さんは呆然と立ち尽くしていた。
「えっ、どーして俺死んだはずなのに⋯。」
「父さん、俺達で生き返らせたんだ!」
「そうだったのか⋯ありがとな!
でも、死者蘇生を使ったら代償として力を失うんだぞ⋯良かったのか?」
「力は、いらないよ。だって、この力は結局武力としてしか使わないじゃないか⋯そんなのもう必要ないんだ!」
「そうだよ⋯パ、パ?」
まだ、よく思い出せていなくて混乱していた遥花だったが、あの時の記憶はもう戻ってこない方が幸せなのではないかと思った。
「ありがとう、皆⋯。俺を生き返らせてくれて…。
それから、瀬戸兄妹達に言いたかったことがやっと伝えられる。」
「えっ⋯?」
怯えているように見える。
「2人がやりたくて俺を刺した訳では無いと分かっているよ。だから、そんなに自分を責めては行けないからね?」
「「は、はい!
でも、本当に申し訳ありませんでした!」」
そして、深々と頭を下げた。
そして、皆笑顔に戻り家へと帰ったのだった。
最初のコメントを投稿しよう!