詩 「初夏」

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さわさわ さわさわと  葉が風に揺れる 若葉は香りを()きながら 枝から天へと手を伸ばす 日を求めて ただひたすらに 新緑は日に照らされ 心地よさそうに 鮮やかに輝く さわさわ さわさわと  葉を揺らして 生を謳歌(おうか)する チュンチュン チュンチュンと 鳥は(さえず)る 涼やかに風を切って 空を舞う 軽やかに 伸びやかに 楽しげに (ひな)は目覚めて 兄弟と合唱する 餌を 親を 温もりを求めて 命を()けて ひたすらに歌う チュンチュン チュンチュンと 鈴を鳴らし 生を謳歌(おうか)する すたすた すたすたと 人間は歩いていく 上着を脱いで 日差しを避けて ただひたすらに 歩き続ける スマホだけを ただ見つめ 風景を見ず 変化に気づかず 繰り返す日を 進んでいく すたすた すたすたと 変わらぬ世を(なげ)き ただ歩き続け 生を(つい)やす
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