贖罪はエイプリルフールに

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12:00 正午だ。 そろそろ嘘の賞味期限。 ここで笑えれば美味しくいただける。 夕方や夜中まで嘘つきっぱなしで誰かを傷つけるのは大失敗。 他人をよこして贖罪なんてどうかしている。 こっちだって負けてられないから。 最初から強気でいく。 「理人とは深い関係なんですか?」 「はい」 はい、だと? ガツンと頭に何かが落ちた。今日は衝撃が多すぎる。 「理人さんには忘れられない元カノがいると承知で、1か月だけでいいと私から無理に付き合ってもらいました」 「元カノって…」 「さやさんです」 私を忘れられないでいた…! 「仕事で憔悴しきって、辛そうでした。彼が気になって」 牧田の顔が曇っていた。 「私は約束通り1か月で別れました。私のほうも何となく、恋愛じゃないなっ    て思いました。 入社してすぐ、理人さんは私を助けてくれたんです。 恩返しがしたかっただけかもしれない」 牧田が配属先の上司にモラハラを受けていることを知り、理人はコンプラ委員会に報告した。そのおかげで牧田は部署移動し、退職せずに済んだという。その上司は社長の親戚で、怖くて誰もが見て見ぬふりをしていた。 「理人さんはずっと苦しんでる。わざと忙しい部署に志望して誤魔化してる 」 「あのメールを送ったのは牧田さん…」 牧田は頷いた。昨夜は、上野で同期会だった。最後に残ったのは牧田と理人。 「理人さんは酔うと、あなたを思い出して返信しようとしていました。でも、できない理由があると断固、しなかった。昨日もスマホを取り出して迷って、途中でうとうとし始めて…」 「あなたが打ったんですね。今、理人はどこにいるんですか?」 牧田は顔をザビエルに向けた。 私は立ってバッグを肩にしたが、牧田が行き手を阻んだ。 「行かせません」 「なぜ?私と理人をくっつけようとしたんでしょ?」 「やることがあるんです」
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