3人が本棚に入れています
本棚に追加
01:13
急な別れは堪える。さっきまで一緒に寝ていたのに、いきなりの孤独。
「全部、理人のせいだよ」
差出人は元カレの理人。アイコンはずっと昔から変わらない、キャップを深く被った横顔。この尖った顎のラインが好き。実は一日に何回も見直している。
この写真は私が撮った写真だ。
大学の入学式で私が一目惚れして、隠し撮りした。お互いに両想いだってわかった時、この写真を理人に送った。
その日からずっとこのアイコンなのだ。
大学時代は理人との思い出に埋め尽くされている。
卒業して別れてから約1年間、理人からの返事は一回も無かった。負担にならないよう、季節の挨拶だけども。返事も反応もなくていい。彼がこの世に存在しているだけで充分。欲望は捨てた。
私は24歳のOLなのに、菩薩のような心境だった。
でも、今。
間違いなく理人からメッセージが私に届いている。しかも私の理想の内容。
やり直すって…お前しかいないって!
小さく叫び、クッションをつかんで転がった。この日が来た。
喜ぶのもつかの間、うっすらと不安が残る。
純の最後の言葉がひっかかる。あの憐れむような優しい目、意味深な声。
「4月1日だからね」
私は、両手を頬に当てた。声にならない叫び。我ながらムンクそっくりなポーズになってしまった。
「エイプリルフール?」
最初のコメントを投稿しよう!