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08:05
結衣がおめでたいとほうじ茶ラテときなこサンドをご馳走してくれた。
さっき、理人は嘘つきと言っていたのに私より喜んでいるってどういう事。
「ほんとーに良かったねー!とりあえず理人の気持ちは本物ってことかな」
「1分差でセーフ」
「紛らわしいよ」
「ほんとやめて欲しいわ」
私はラテを飲み干した。昨夜から喉が渇くんだ。
「どしたの?早く返事しなって。待ってるんじゃない」
「うん…するけど…」
今朝、リアルに理人との思い出をなぞっていて、違和感が少しずつ増していたのだった。
何かがおかしい。
このまま返事していいのだろうか。
「これを打ったの、理人じゃない…と思う」
「えぇ?」
「理人は…動く絵文字とか、音符とか星とか、めっちゃ色々つけるのよ。外見はチョイ悪なのに、メールはオネエなの。それに、大事なことは電話なの」
「そうなん。じゃ、全然違うじゃん」
「それに私の事、『お前』って言ったことない…」
「はじめてのお前でやり直そう…はないな!」
「ない!「お前」はない!」
「じゃ…誰なの?なりすまし?こわ!」
私たちは理人のSNSを確認した。ハッキングはされてないようだ。
この一か月、何も更新されてない。ストーリーやショートもつぶやきも。
理人には仲の良い女子が何人かいる。みんなそれなりに可愛い。
一人、目に留まる子がいた。奥二重で、金髪ショート。
「この1年で理人は変わったんだよ。働くと、人格変わるじゃない?」
結衣はフルスピードでメールのやり取りをしている。
「いま理人と同じ会社の人に聞いてるんだけど!なんと!
今年からアジア海外事業部が発足して、しょっちゅう辺鄙な海外の田舎に行かされてるみたい」
結衣はネットワークが広い。
「そっか…激務か…虫が大の苦手なのに、大丈夫かな?」
私たちは、ネットで理人の情報を拾った。友達、会社、行きつけの店。
わからなかった。
このメールを送ったのは誰?
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