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学園祭でバンドは解散した。
誰もが夢を抱えたままで高3になる為に。
ドラムは『ずっと続けていたい』と、言って。
ベースは『上手くなりたいから専門学校に行く』と、言って。
ギターは『プロを目指したい』と、言った。
僕は『どんなカタチでも親を喜ばせていたい』そう言った。
父は高校中退で工場に勤め、ずっと勤務して主任にまでなった。
母が専業主婦になれるほどの家庭だけど、苦労はもちろんある。
僕は大学に進学して、収入の良い会社に就職したいと決意した。
せめて親の老後を楽にしたくて。
ギターは趣味のままでもいいし、東京都内にはアマチュア達も
多く活躍している。
ギターを弾くことだけは続けて、何かしらの身になればいいと
様々な遠い未来を描いていた。
それらを見れることなく、母は逝った......。
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