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「私さ……ずっと雄征のことが好きだったの。小さい時からずっと」
「……え?」
「ごめん、びっくりさせたよね?彼女もできたばかりなのに、ごめん…」
「いや…でも、優乃佳のこと、俺はずっと…」
「…妹みたいに思ってた?」
「……うん……本当にごめん……」
心から申し訳なさそうな表情をする雄征を見て、ようやく自覚できた。
「……なーんてね。嘘だよ!」
「……えっ!?はぁ!?」
「今日エイプリルフールだよ?今日だけで何回引っ掛かってるのよ?」
「…あっ。………また嘘かよ!?」
私が笑いながらそう告げると、雄征はうんざりしたような呆れたような、でも少し安堵したような表情を浮かべていた。
「そうだよ。嘘に決まってるでしょ?それよりもおめでとう!彼女さん、大事にしてあげてね!」
「ああ……うん。ありがとう、優乃佳」
「じゃあ、そろそろ家のなかに入らないと!お母さんとお父さんも心配するからさ」
「ああ、そうだな。…じゃあ、またな!優乃佳!」
「うん!また学校で!」
自転車に跨がって自宅に向かって帰っていく雄征の背中をずっと笑顔で手を降りながら見送った。
……背中に隠した方の左手には、テーマパークのチケットを握り締めながら。
長い長い片想いだった。長い長い恋だった。いつかは振り向いてくれると思っていたけど。
そんな甘くはなかったんだね。
もっと早くに素直に言えてたら変わっていたのかな。
でもありがとう。ずっと好きでした……これからもきっとずっと好き。
だけどさよなら、私の初恋。
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