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「じゃあ、そろそろ帰るか」
「そうだね」
すっかり陽が暮れてきて、辺りも暗くなってきた。私達はショッピングモールを後にして駐輪場に停めていた自転車に乗って、行きと同じ道を通って私の家まで向かった。
私の家の前まで着いたところで、いよいよ最後のサプライズドッキリを仕掛ける時が来た。
少しまた緊張してきたけど、他のは全て成功しているからきっと大丈夫。
「ねぇ、」
「あのさ、」
私が口を開いて声を掛けたタイミングで、雄征も丁度同じタイミングで何かを話そうとしてくれてたようで、声が重なってしまった。
「…あ、どうしたの?雄征からでいいよ」
「あ、ごめん。…あのさ、」
「うん」
何故だか、雄征は顔を少し赤くしながら俯いた。口を開いては閉じてを繰り返している。
私はその姿に何だかドキドキして喉が渇いたような感覚に陥る。次に発せられるだろう雄征の言葉をひたすら待つ。
……どのくらい経ったんだろう。きっと数分も経ってないはず。でもすごく永遠にも感じられるような静寂の時間だった。
何かを覚悟したように雄征は顔を勢いよく上げた。そして……
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