ファスティング即身仏

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餌葬(じそう)。と言う概念が私には有り、おにぎり1つくらい、地に落ち、小動物の趣向品に至らんとも構わないと思っています。あの瞬間に私は小動物の趣向品へと思っていたのです。「ひもじい…駿はきちんとご飯は食べていますか?」私は宙に在り、諸問題を浮かべ、それに倣い、しかし、それそのものと化していました。「餌葬の話でしょうか?三郎太さんは毎回よな。身朽ちし時はそなたが私を召すのでしょう。でしょ?私は逆パターンさえ想定しています。このおにぎりみたいに…。」目を潤ませ、駿はおにぎりを見つめていました。「駿!後ろっ!これは養狐様…養狐様が現れた…。」私は駿の背後に養狐様在りし。と分かったのです。「養狐様は確かに在らっしゃいますよ。」朗らかに笑んだ駿は養狐様のお導きによりけり。私はつられて朗らかと為りました。
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