ファスティング即身仏

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娯楽と言うと冠婚葬祭や喜怒哀楽から解放された気になります。しかし、実際は冠も冠らず、我が喜びも知らぬ木偶の坊でしかないのです。娯楽はいつ如何なる時期にも興じれるのですから、私は正明朗が泣き止むまで待ちたいと思えて来ました。「えーん!えーん!俺はおにぎりじゃないじゃんか?既に人。優しい人です。」正明朗は我が喜びに近付きつつあります。事実上、駿が食べたおにぎりの精であれ、今は逞しい百姓ではないか。と私は悟りましたが、何の義理もない、最悪駿の握ったおにぎりを堪能した後なら…説こうとも思いましたが、控えましょう。何せ私はまだ駿の握ったおにぎりを知らないのですから…。「優しい人。」私はさり気に添え付けました。正明朗が立派な百姓で在り続けて欲しくて、私はそっとそれを推したのです。
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