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“痛みって、こういうものなんだ”
「突然どうしたんだ!?」
僕の奇行に焦っている瑛士がなんだか可笑しく、大きな口を開けて笑いたくなった僕が声をあげて笑い出すと、更に戸惑った表情になる。
「あぁ、僕は……」
最初から天使なんかじゃなかったし、今では死神ですらない。
この世の生物の中で最も下等とされる生物、人間になってしまったことを知る。
「瑛士、君はきっとまだ死なない」
「え?」
「とは言っても、今の君の寿命がどれくらいなのかもう僕にはわからない」
「それって」
思わせ振りな言い回しに何かを察したのか、少し瑛士の顔色が悪くなった。
“突然人間になってしまったって言ったら、瑛士はどうするんだろう”
何の能力も、そして人間らしい知識すら持っていない僕は完全に足手まといであり厄介者。
恋人ではあったが、それは未練をなくす為の仮初のものだった。
問題しかない、この現状だけど。
きっと彼ならば受け入れてくれるような、そんな気がした。
「責任、取ってくれる?」
「幸せにする!」
「ふはっ」
前のめりに断言され、思わず吹き出してしまう。
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