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もう一度、今度は君とこの胸に芽生えた気持ちを確かめるために。
彼が言いたいことはこれだと確信を持っていたのだが、ベッドに引きずり込まれた瑛士はというとまたも戸惑ったような表情を浮かべていた。
“もしかして、今からって意味じゃなかったのかも”
だが、僕に浮かんだ一瞬の不安を感じ取ったのか、真剣な表情になった瑛士が突然くるりと僕と位置を入れ替え気付けば彼に組み敷かれる。
自身の状態を一拍遅れて理解した僕の頬がじわりと熱くなり、そしてそんな僕を見つめていた瑛士がゆっくりと顔を近付けた。
「んっ」
拒絶はしなかった。いや、そんなこと頭にも思い浮かばなかった。
それどころか、優しくそっと重ねられるその唇から彼の温度が分け与えられているような錯覚を覚え心が震える。
今からする行為にはきっと何も意味はない。
生殖行為でもなければ人命救助でもない。
ただただ、触れたいからというその劣情を互いにぶつけるだけの行為であり、そしてそんな行為がこんなにも待ち遠しいとは今までの僕は知る由もなかった。
早く、早く触れて欲しい。もっと深く触れてみたい。
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