2.仮初の恋人

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 白く大きな羽は人前では隠すとして、他に白い要素は今僕が着ているシンプルな長袖Tシャツと麻素材のシンプルなズボン、それらはどちらも淡いベージュで、白というよりは少し汚れて見える。  寝巻きのようなラフな格好の僕を見て、どこら辺が穢れを知らないと思ったのだろうか。  疑問が芽生えるのと同時にその考えがなんだか不思議で、少しむず痒く、そしてそれがどこか心地よかった。  デートがしたいという瑛士に付き合い、早速僕たちのお出かけが決まった。  翼があると他者からは奇異の目で見られるだろうと不可視化し、反対に一人言を言わせ続けるのもおかしいので姿は可視化した。  あまり人間には詳しくはないが、これで一応デートの準備は整ったと靴を履く。    普段翼で飛んでいるせいで靴がいらなかった僕は靴を持っていなかったので、一回り大きい瑛士の靴を借りることにした……の、だが。 “大きいな” 「なんとかなりそうか?」 「うん、歩けるよ」  当然大きく歩き辛いため、靴の先端にティッシュを詰めてみたがまぁ悪くはない。 「そもそも歩くのが久しぶりだから歩き心地なんてわからないんだけど」
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