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「そうか、ならまずはましろの靴を買いに行こう」
「あ、僕お金が」
「俺が出すよ、どうせあの世にお金は持っていけないんだろ?」
冗談なのかわからないことを言いながら笑う瑛士にどう反応すればいいかわからず、俺は曖昧に笑ってみせた。
“恋人ってことだから、手くらい繋ぐのかな”
玄関の鍵をガチャンとかける瑛士の手をじっと見ていると、そんな僕の視線に気付いたのか瑛士が不思議そうに首を傾げる。
「あ、いや……その、手、繋ぐのかなと思って」
少し気恥ずかしく顔を背けると、くすりと笑う気配を感じ更に頬が熱くなる。
「……ましろが、繋いでいいなら」
「今は恋人だから」
「ありがとう」
“お礼を言われるようなことじゃないのに”
律儀にお礼を口にした瑛士が差し出す手のひらにそっと自身の手を重ねると、少ししっとりとしていることに気がついた。
「悪い、その、少し緊張感して」
「え……」
「恋人と手を繋ぐなんて初めてだから。というか、恋人が出来るのも初めてなんだけど」
“意外だな”
瑛士は決して顔は悪くない、むしろ整っている方だと思う。
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