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ウサギが持っていくことができたのは、最小限の身の周りのものだけだった。
家具や家電製品や、すぐに使わないものは、前の住人の荷物があるせいで部屋に入れられなかった。
それらをどうしたのかは、夢の中だから曖昧だ。トランクルームのようなところに預けることができたのかもしれない。
さらに不動産屋は、前の住人の家具や荷物には絶対に触らないようにと、ウサギに言った。
持ち主以外の者がそれらを勝手にどうにかしたら、損害賠償金を請求される可能性があるからというのがその理由だ。
夢の中のウサギは、うんざりしながらもその説明に納得した。
そして、前の住人の家具と荷物の合間を縫うようにして、新しい部屋での生活が始まった。
「それでどうなったの?」
ミニブタが先を促す。
「何日くらい経った頃かなあ…。ううん、一日目だったかもしれない」
ウサギは冷蔵庫の必要性を強く感じた。
そこで不動産屋から釘を刺されていたにもかかわらず、前の住人の冷蔵庫をこっそり使わせてもらうことにした。
冷蔵庫の扉を開けると、そこにも前の住人のものが残っていた。
野菜、卵、牛乳…。
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