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私は茶色いガサガサした家にいる。人間の言葉では確か『段ボール』とかいうものらしい。
ううん、捨てられたわけじゃないの。でもいつだったか、彼が私を見つけてくれた。
そしてここはノラの私のために、彼が作ってくれた家。下には『タオル』とかいうものを敷いてくれている。
でも、彼は今日はまだ来ていない。いつもならもう来ている頃なのにな。
私のこと、嫌いになっちゃったのかなあ……。
「メルー」
「! にゃーん」
彼だ!
私が彼に向かって声をあげると、彼は駆け寄って私の頭を撫でてくれる。私は彼の手に頭をすりすり。
「ごめんね、遅くなって! パパとママにお願いしてたんだよ!」
お願いって?
「さあお引っ越しだよ、メル。今日からぼくたち一緒に暮らせるんだよ」
本当に? 本当に一緒に暮らせるの?
彼が優しく微笑んで段ボールごと私を抱き上げて立つ。
「さあ、帰ろうね。ぼくたちのお家へ」
「にゃーん」
今日はうれしいお引っ越し。大好きな彼の家へとお引っ越し。
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