ミロク町の嘘

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目が覚めると見慣れたいつも通りの天井があった。それでもいつもと違うところといえばこの賑やかさだ。矢張り町一番の祭りなだけあって、朝から大賑わいだ。俺は早着替えして居間に急ぐ。するとばあちゃんがテレビを見てお茶を啜っていた。 「何してんのばあちゃん、今日はミロク神祭だろ?みんな大忙しなんだからばあちゃんくつろいでないで見に行ったらどう?」 ばあちゃんを叱ると言うよりも外に出ることを勧めてみた。もう七十を過ぎるばあちゃんだから流石に手伝えとまでは言えない。 「ん?そうさねぇ、神祭ねぇ、悲しいことだねぇもう七度も見てきた。お前は男に産まれてきて良かったねぇ」 ばあちゃんは眉を下げて悲しそうに言った。 「何言ってんの?確かに俺は女になんか産まれたくないけどばあちゃんが言ってる意味は分からないよ」 疑問でしかなかった。ばあちゃんがなんでこんなことを言ったのか。祭りが開かれることの何が悲しいのか。 「そうか、お前はまだ『嘘』をつかれたままなんだね」 『嘘』?一体なんのことだ。まさか町人達に嘘をつかれているとでも言うのか。どんな嘘かは知らないが、どうせ大したことでは無いだろうとばあちゃんの話を真面目には聞かなかった。
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