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ピリリリリリ
僕の身体に何千回も刻み込まれた電子音が、強制的に僕を覚醒へと導いた。
朝だ。非常に残念なことに。
僕はひとまず耳障りな電子音を止めようと、音のする方向に拳を振り上げる。もう一度夢の中に戻りたがる身体を激励し、そのまま勢いで上体を起こす。
強制的に叩き起こされる心地を久々に味わい、腹の奥を渦巻く特有の不快感に唸った。
朝特有の倦怠感をなんとか振り払おうと伸びをしたとき、不意に枕元に置いたスマートフォンがブゥンと震えた。
チカチカと光る画面が目に痛い。なんとかスマートフォンを拾い上げて画面を覗き込むと、一瞬で朝の眠気が吹き飛ばされたような心地がした。
光る画面は、伊東、という名前を映し出していた。同じ委員会の、クラスメイトからだ。
そうか、委員会関連の何かだろう、そうに違いない、と僕はスマートフォンをあえて緩慢に操作して……、
ん?
「どういうこと?」
僕は一度瞬きをして、再びメッセージ画面を覗き込んだ。
『伊東めぐる:今日は101回目のエイプリルフールだね、覚えてる?』
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